ソシオネクストは減収減益、減収の8割超が中国向け:25年度も減益予想(3/3 ページ)
ソシオネクストの2024年度通期(2024年4月〜2025年3月)業績は、売上高が前年度比14.8%減の1885億円、営業利益が同29.6%減の250億円、純利益が同25.0%減の196億円で、減収減益となった。中国の通信機器関連を中心に、中国向けの減少が響いた。
NRE売り上げの過半が5nm以下
2024年度通期売り上げの内訳をアプリケーション別にみると、中国の通信関係の製品売り上げ減少に伴い、データセンター/ネットワーク分野の比率が低下してきている。一方でNRE売り上げは、データセンター/ネットワーク分野が新規商談獲得拡大によって再び比率が高まっている。地域別では、製品売り上げは中国向けの比率が引き続き減少。NRE売り上げは米国向けでデータセンター/ネットワーク分野で新規商談獲得もあり、高水準を維持している。なお日本向けも増加しているが、これはハイエンドカメラ向けやメディカル向けの開発案件があったことによるものだという。
プロセス別では、売り上げ/NRE売り上げともに先端テクノロジー向けの比率が高い水準を維持。NRE売り上げは3〜7nmプロセスが74%となっているが、そのうち5nm以下が過半を占めていて、今後3nmが増加していく見込みだとしている。
商談獲得残高は1兆1400億円に
商談獲得の状況(為替レート前提は1米ドル=100円)を見ると、2024年度は3000億円を上回る商談を獲得。2023年度までの数年は北米のオートモーティブ案件が大きなウエイトを占めていたが、2024年度は北米のデータセンター分野のCPUやAI関連案件が過半を占めた。また、大口商談の比率も増加傾向にあり、2024年度は300億円以上が4件、100億円以上300億円未満が2件となっている。
2024年度末時点の商談獲得残高(為替レート前提は1米ドル=100円)は、前年度末から約1000億円増の1兆1400億円となった。北米オートモーティブ関連商談で量産キャンセルがあり獲得済み商談で−400億円となったほか、売上計上に伴う約1400億円の減少があったが、新規商談獲得による約3000億円の増加によって拡大した。商談獲得残高をアプリケーション別でみると、2024年度の新規商談獲得が大きかったデータセンター/ネットワークの比率が増加。オートモーティブとデータセンター/ネットワーク、それ以外のアプリケーションがそれぞれ3分の1程度のバランスとなった。地域別では米国向けが若干増加したものの、ほぼ前年度並みのバランスを維持している。
なお、ソシオネクストはこれまで商談獲得額、商談獲得残高などに用いる内部管理為替レートを2025年度から、1米ドル=100円から120円に変更する。これによって、商談獲得残高は約1兆3400億円となる。
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