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配線工程もいよいよ次世代へ ラムリサーチのモリブデン対応ALD装置バリア層も不要に(2/2 ページ)

ラムリサーチは、配線工程において、従来のタングステンに代わり、モリブデンを使用する原子層堆積(ALD)装置を発表した。次世代のロジックやメモリの製造に向け、より低抵抗の金属で配線を形成できるようになる。併せて、新たなプラズマ制御機構を用いたエッチング装置も発表した。

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高速にプラズマが安定するコンダクターエッチング装置

ラムリサーチの西澤孝則氏
ラムリサーチの西澤孝則氏

 Lam Researchは併せて、コンダクターエッチング装置「Akara(アカラ)」も発表した。同社は2004年にコンダクターエッチング装置「Kiyo」をリリースした。現在は累計3万モジュールのチャンバーが展開されている。

 ラムリサーチでリージョナルテクノロジーグループ マネージングディレクターを務める西澤孝則氏は「AI時代に必要なデバイスアーキテクチャを実現するには、プラズマエッチングの性能をさらに超えるエッチング性能が必要になる」と語る。

 そこで開発されたのがAkaraだ。Lam Researchのエッチングプラットフォーム「Sense.i(センスアイ)」向けの装置となる。

 Akaraでは「Direct Drive」「TEMPO」「SNAP」という3つの新しい技術を採用した。Direct Driveはソリッドステートのプラズマ源で、従来方式に比べ100倍速い応答性能でプラズマを生成する。「Direct Driveはプラズマ制御を根本的に見直して開発した技術。従来のプラズマ源とは全く違う機構になっていて、プラズマを高精度かつ高速に制御できる」(西澤氏)。TEMPOは、プラズマを制御する独自の機能で、高いエッチング選択性と、深さ方向の均一な加工を実現する。SNAPはイオンエネルギーを高精度に制御するシステムで、原子レベルの精度でエッチング形状を形成する。

「Akara」の外観(「Sense.i」に搭載)と、採用されている3つの新技術の特徴[クリックで拡大] 出所:Lam Research
「Akara」の外観(「Sense.i」に搭載)と、採用されている3つの新技術の特徴[クリックで拡大] 出所:Lam Research

 3D DRAMや、次世代トランジスタ構造の一つであるCFET(コンプリメンタリFET)では、非常に高いアスペクト比の加工が求められている。Akaraでは、DRAMでは深さ9ミクロンのトレンチエッチングを垂直に実現できていることが確認された。CFETでも、異なるゲルマニウム濃度のレイヤーを真っすぐに加工できている。「濃度が異なるゲルマニウムの層を垂直に加工するのは非常に難しい」と西澤氏は説明する。

3D DRAMやCFETのエッチング結果
3D DRAMやCFETのエッチング結果[クリックで拡大] 出所:Lam Research

 CD(Critical Dimension)バイアスのばらつきも改善した。AkaraではDirect Driveの導入により、ミリ秒オーダーでプラズマが安定する。従来は数秒間かかっていた。これらの機能により、CDバイアスばらつきを1.5Å以下に抑えることが可能になった。現時点で先端となるGAA(Gate-All-Around)のCDバイアスばらつきは3Åなので、約半分に抑えられることになると西澤氏は説明した。

CDバイアスばらつきを減少できる
CDバイアスばらつきを減少できる[クリックで拡大] 出所:Lam Research

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