ローム初の高耐圧GaNデバイス向け絶縁ゲートドライバーIC:高速スイッチング特性を引き出す
ロームは、同社初となる高耐圧GaN HEMT向け絶縁ゲートドライバーIC「BM6GD11BFJ-LB」を開発した。GaNデバイス製品と組み合わせることで、高周波・高速スイッチング駆動を実現し、モーターやサーバ電源などを小型化・高効率化できる。
独自開発のオンチップ絶縁技術で寄生容量を低減
ロームは2025年5月、同社として初となる高耐圧GaN HEMT向け絶縁ゲートドライバーIC「BM6GD11BFJ-LB」を開発したと発表した。GaNデバイス製品と組み合わせることで、高周波・高速スイッチング駆動を実現し、モーターやサーバ電源などを小型化・高効率化できる。
新製品は、独自開発のオンチップ絶縁技術により、寄生容量を低減し最大2MHzの高周波駆動を可能にした。これにより搭載システムの省エネ化や高性能化、実装面積の削減などが可能となった。
また、コモンモード過渡耐圧(CMTI)は150V/ナノ秒で、従来品の1.5倍である。これにより、高スルーレートでの誤動作を防ぎ、安定した制御が可能となった。最小パルス幅も従来品に比べ33%縮小し、オン時間を最小65ナノ秒に短縮した。このため、高周波数化しても最小デューティ比を確保でき、損失低減を最小限に抑えることができるという。
GaNデバイスのゲート駆動電圧範囲が4.5〜6.0V、絶縁耐圧が2500Vrmsの650V耐圧GaN HEMT「GNP2070TD-Z」を始め、さまざまな高耐圧GaNデバイスの性能をフルに引き出すことが可能である。出力側の消費電流は最大0.5mAとなっている。
パッケージは外形寸法が4.90×6.00mm、厚みが最大1.65mmのSOP-JW8で供給する。既に量産を始めており、サンプル価格(税別)は600円。コアスタッフオンラインやチップワンストップといったウェブサイトからも購入することができる。
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