ロームが高精度電流センスアンプICを開発、車載48Vシステムに対応:±1.0%の精度で電流を変出
ロームは、80Vあるいは40Vの入力電圧に対応した高精度の「電流センスアンプIC」を開発、量産を始めたと発表した。新製品は車載信頼性規格「AEC-Q100」に準拠している。
オペアンプ回路をワンパッケージに集積し、省スペースを実現
ロームは2025年3月、80Vあるいは40Vの入力電圧に対応した高精度の「電流センスアンプIC」を開発、量産を始めたと発表した。新製品は車載信頼性規格「AEC-Q100」に準拠している。
新製品は、80Vの入力電圧に対応しTSSOP-B8Jパッケージを採用した「BD1423xFVJ-C」と、入力電圧が40VでSSOP6という小型パッケージを採用した「BD1422xG-C」だ。ゲイン設定別にそれぞれ3機種を用意している。
従来は、オペアンプICとディスクリート部品を組み合わせてオペアンプ回路を構成していた。新製品はこれらのデバイスをワンパッケージに集積した。これによりシャント抵抗器を外部に接続するだけで電流検出が可能となり、基板への実装面積を削減できる。
また、入力段にチョッパーアンプ、後段にオートゼロアンプを用いた2段アンプ構成を採用。精度に大きく影響するゲイン抵抗器とのマッチングをIC内部で行うことにで、広い温度範囲(−40〜+125℃)において±1.0%という高い精度で、安定した電流検出を可能にした。ノイズ対策用のRCフィルター回路を外付けしても電流検出精度は維持されるという。さらに、−14Vの負耐圧を備えていて、逆起電力や逆接続、負電圧入力に対応した。
なお、48V電源系統向け「BD1423xFVJ-C」は、DC-DCコンバーターや冗長電源、補機バッテリー、電動コンプレッサーといった用途に、5/12V電源系向け「BD1422xG-C」は、ボディDCU(ドメインコントロールユニット)やボディECUといった用途に、それぞれ提案していく。
新製品のサンプル価格(税別)は450円。コアスタッフやチップワンストップなどネット商社のWebサイトからも購入できる。また、評価用ボードも用意している。
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