新生Sandiskが発表した初めての四半期決算、前期比で減収減益に:福田昭のストレージ通信(278)(2/2 ページ)
2025年2月、Western DigitalのNANDフラッシュ事業を分割して設立された「Sandisk Corp.」が、米国ナスダック市場に上場した。今回は、上場後初となるSandiskの四半期決算(2025会計年度第3四半期(2025年1月〜3月期))を紹介する。
クライアント向けが売り上げの半分強を占める
SandiskはWDと同様に、売り上げを3つの分野に分けて公表した。「クライアント(Client)」(直接販売、あるいは代理店経由の販売によるOEM向け)、「コンシューマー(Consumer)」(リテールその他の販売チャンネルによる一般消費者向け)、「クラウド(Cloud)」(パブリックあるいはプライベートのクラウド向け)、である。

「クラウド(Cloud)」(パブリックあるいはプライベートのクラウド向け)、「クライアント(Client)」(直接販売、あるいは代理店経由の販売によるOEM向け)、「コンシューマー(Consumer)」(リテールその他の販売チャンネルによる一般消費者向け)の分野別売上高[クリックで拡大] 出所:Sandiskが2025年5月7日に発表したリリースから筆者が抜粋したもの
「クライアント」分野の売上高は前期比10%減、前年同期比10%減の9億2700万米ドルである。全体に占める割合は54.7%と半分を超える。
同分野の見通しは明るい。2025年(暦年)下半期はPC向けの需要が伸びる。Windows 10のサポート終了によるPCの入れ替え、コロナ禍の時期にPCを購入した層による更新、AI対応PCによる搭載ストレージ容量の拡大、などが需要増の理由だとする。
「コンシューマー」分野の売上高は前期比5%減、前年同期比は横ばいの5億7100万米ドルである。全体に占める割合は33.7%と約3分の1となった。「クラウド」分野の売上高は前期比21%減、前年同期比103%増の1億9700万米ドル、全体に占める割合は11.6%である。
コンシューマー分野ではプログレードのフラッシュメモリカードがコンテンツクリエイター向けに販売を拡大している。クラウド分野ではハイパースケール向けでビット換算のシェアが前年同期の8%から今期は12%に伸びた。またPCIe Gen5対応のエンタープライズ向けSSDがNVIDIAの認証を得た。
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