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新興メモリの普及、狙いはNORフラッシュの置き換え:車載用MRAMやReRAMが次々登場(3/3 ページ)
磁気抵抗メモリ(MRAM)/抵抗変化型メモリ(ReRAM)などの新興メモリは、宇宙や防衛など、特殊な用途だけでなく、車載などでも採用できる準備が整ってきた。
MRAMのサプライヤーが少ない
Objective Analysisの主席アナリストであるJim Handy氏は、EE Timesのインタビューで「車載メモリの顧客企業にとって、信頼性は非常に重要である。しかしそうなると、『顧客にとっては低価格よりも信頼性の方が重要なのだろうか』という疑問が生じる」と述べている。
Handy氏は「多くの場合、価格の点ではNANDフラッシュが引き続き最善の選択肢であるといえるが、MRAMは、複数の調達ソースから入手可能になれば、NORフラッシュの代替となり得る。その場合、MRAMが市場に参入する上での課題となるのは、現在のところMRAMの調達ソースが非常に少ないという点だ」と述べる。
宇宙用途では、MRAMの信頼性だけでなく、放射線耐性も重要視される。一方でReRAMは、より高い信頼性を提供し、極端な温度への対応にも優れる。
Handy氏は、「車載メモリのチャンスは、自動車に搭載されている膨大な数に上るマイコンにある」と強調する。「これらのマイコンを、温度の影響を受けにくくすることが、大きな課題になるだろう」
Handyは、新興メモリの課題はコストだと述べる。技術的には既存のメモリより優れていても、既存品は安価である。「新興メモリ技術の大きな課題は、少なくとも競合技術のコストに見合うかどうかだろう」
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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