AIサーバ向け100V耐圧パワーMOSFET、ロームが発売:高SOA耐量と低オン抵抗を両立
ロームは、48V系電源のAIサーバ向けホットスワップ回路やバッテリー保護が必要な産業機器電源などの用途に向けた100V耐圧パワーMOSFET「RY7P250BM」を開発、販売を始めた。新製品は高いSOA(Safe Operating Area)耐量と低オン抵抗を両立させた。
電源の効率を最適化し、消費電力と発熱の低減が可能に
ロームは2025年5月、48V系電源のAIサーバ向けホットスワップ回路やバッテリー保護が必要な産業機器電源などの用途に向けた100V耐圧パワーMOSFET「RY7P250BM」を開発、販売を始めた。新製品は高いSOA(Safe Operating Area)耐量と低オン抵抗を両立させた。
データセンターでは、生成AIや高性能GPUを搭載したサーバの電力消費が増え、電力効率のさらなる向上と大電流への対応が求められている。12V電源から48V系電源システムへの移行も進む。
また、サーバの電源を切らずに部品やモジュールの交換が可能なホットスワップ回路では、突入電流や過負荷時の破壊を防ぐため、高SOA耐量と低オン抵抗という特長を兼ね備えたMOSFETのニーズが高まっている。
RY7P250BMは、SOAのドレイン電流許容値としてパルス幅10ミリ秒で16A、1ミリ秒で50Aという性能を実現した。このSOA耐量は従来製品に比べ、パルス幅10ミリ秒で約8.8倍、1ミリ秒で約6.6倍となる。
オン抵抗は1.86mΩである。8080サイズで一般的な100V耐圧品に比べ、オン抵抗は約18%も低減した。低オン抵抗を実現したことで、サーバ電源の高効率化や冷却負荷の低減、電力コストの削減が可能となった。
パッケージは外形寸法が8.0×8.0×1.0mmのDFN8080-8Sで供給する。サンプル価格(税別)は800円。コアスタッフオンラインやチップワンストップといったネット商社からも購入できる。
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