「光で剥離」 次世代半導体パッケージの歩留まりと生産性向上へ:レゾナックとPulseForgeが提携
レゾナックとPulseForgeは、次世代半導体パッケージ向け光剥離プロセスに関し提携した。レゾナックの仮固定フィルムとPulseForgeの光照射システムを組み合わせることで、半導体パッケージの製造プロセスにおける、歩留まりと生産性のさらなる向上を実現していく。
2026年内にも量産プロセスに導入、顧客対応も共同で実施
レゾナックとPulseForgeは2025年6月、次世代半導体パッケージ向け光剥離プロセスに関し提携したと発表した。レゾナックの仮固定フィルムとPulseForgeの光照射システムを組み合わせることで、半導体パッケージの製造プロセスにおける、歩留まりと生産性のさらなる向上を実現していく。
次世代半導体パッケージは、複数の半導体チップを立体的に積層するなど複雑な構造となる。こうした製造プロセスでは、ガラスなどのキャリアに半導体チップなどを仮止めし、必要な加工を行った後にキャリアから剥がす工程などがある。この時に用いる仮固定材では、あらゆる加工プロセスに適合できることや、残った仮固定材を容易に除去できることが求められるという。
PulseForgeは、高いエネルギーを出力できる独自の光照射システムやガラスキャリアを提供している。ウエハーやパッケージに物理的な負荷などをかけずに、短時間でキャリアから仮固定材を剥がすことができる。「すす」なども発生しないという。
レゾナックは、PulseForge製の光照射システムによる光剥離プロセスに適した仮固定フィルムを開発した。このフィルムは膜厚が均一で、厚みが20μmの薄型ウエハーにも対応する。しかも、ウエハーやパッケージから容易に除去でき、洗浄工程での作業を最小限に抑えることができる。
レゾナックは、光剥離プロセスに関する基本的な方法特許を保有している。そこで今回、PulseForgeに対し、提携に関連するライセンスを独占的に供与した。両社は開発する次世代半導体パッケージ向け光剥離プロセス技術について、2026年内にも量産プロセスに導入する計画である。また、アジアや北米、欧州における顧客対応やマーケティング活動なども共同で行う。
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