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インタビュー

AvnetグループのFarnellが日本に本格参入 「匠の国に寄り添う」Farnellプレジデント Rebeca Obregon氏(2/2 ページ)

AvnetグループのFarnellが日本でのビジネス展開を本格化させている。エレクトロニクス商社としてのFarnellの強みや、なぜ今、日本市場への本格参入を決断したのかを、FarnellプレジデントのRebeca Obregon氏に聞いた。

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日本参入は数年前から計画、なぜ「今」なのか

――Farnellは数年前から日本市場への進出を計画していました。2024年は、半導体の市況は良くない時期でしたが、なぜこのタイミングで日本市場への参入を決めたのでしょうか。

Obregon氏 日本は当社にとって重要な市場であるだけでなく、インスピレーションの源であり、精密さや革新性、献身の象徴でもある。われわれは、日本が「匠の技術」を追求することで世界を形作ってきたことを見守ってきた。

 日本市場への参入を決めた背景には、単なる事業拡大ではない、深い意図がある。日本のディストリビューターの“仲間入り”をすることが目的ではなく、日本独自のニーズを満たすユニークなソリューションを提供したいという思いがあったからだ。これには、日本のサプライヤーと協力して、顧客がプロジェクトのために最新の技術を利用できるようにすることも含まれる。

――日本の半導体/エレクトロニクス市場をどう見ていますか。

Obregon氏 日本の半導体市場は非常に刺激的だ。日本の半導体市場規模は2024年には404億米ドルに達し、2033年までに616億米ドルに成長すると予測されている(IMARC Groupの予測による)。日本は産業オートメーションやロボット工学などの分野をリードしている。世界のロボットの38%を生産し、年間16万台以上を輸出していることは、決して小さなことではない。半導体はこの成功の中心にあり、AI/機械学習やIoTなどの技術を推進し、日本の正確さと独創性の評判を高めている。

 日本のコネクティビティの進歩にも驚かされている。2028年までに5Gが携帯電話契約の75%を占めると予想され、6Gに向けた初期の取り組みからは、産業や日常生活において半導体の役割が重要になっていることが見て取れる。強固な通信インフラから、医療や輸送におけるイノベーションに至るまで、「目標と能力が合致すれば何を実現できるのか」を日本は示しているのではないか。

 日本が持つビジョンについても注目している。当社は日本市場にとってパートナーであり、協力者でもありたい。

Rebeca Obregon氏
日本オフィス開設時のObregon氏 出所:ファーネルジャパン

――日本での具体的な戦略についてお聞かせください。

Obregon氏 まずは、日本のエンジニアやイノベーターの具体的なニーズを真に理解し、満たすことに重点を置いている。幅広い製品群と使いやすいデジタルツール、専門家によるテクニカルサポートを組み合わせることで、顧客が必要なものを迅速かつ確実に見つけられるようにしている。

 迅速で信頼性の高いサービスを提供するために、現地のサプライチェーンを強化し、現地のパートナーとも関係を構築している。当社の目標は、日本の技術者が、日本の伝統的な長所を維持しつつ、新たな挑戦とチャンスを受け入れられるよう、“信頼できる味方”になることだ。

――現在の世界の半導体/エレクトロニクス業界をどうみていますか? そうした中で、ディストリビューターが果たすべき役割については、どうお考えでしょうか。

Obregon氏 世界の半導体/エレクトロニクス業界は急速に進化している。半導体はもはや単なる部品ではなく、ヘルスケアからモビリティ、通信まで、さまざまな分野でイノベーションの基盤となっている。

 今後、業界はより複雑ながらビジネス機会に満ちた方向に向かっているのではないか。AIやIoT、5Gなどの次世代ネットワークを推進する、より強力なチップも登場するだろう。それらは、将来的なニーズを満たすために、テクノロジーをより持続可能なものにするための半導体だ。

 サプライチェーンの混乱などの課題で、業界はレジリエンスと協業の重要性を再認識している。企業や規制当局、イノベーターがかつてないほど協力し合い、より強力でアジリティが高いエコシステムを構築しようとしている。

 Farnellは、エンジニアが大胆なアイデアを実現するために必要なツールや洞察および、(エンジニア同士の)つながりを提供することで、エコシステムの構築をサポートする。

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