半導体産業を支援するコミュニティ「RISE-A」設立、三井不動産:理事長は名古屋大学教授 天野浩氏
三井不動産は、半導体分野における技術とニーズをつなぐ産業支援コミュニティとして、一般社団法人「RISE-A(ライズ・エー)」を設立したと発表した。既に会員募集を始めており、半導体分野の産業創造に向けた共創の場や機会を提供する。RISE-Aの理事長には名古屋大学教授の天野浩氏が就任した。
理事長には名古屋大学教授の天野浩氏が就任
三井不動産は2025年7月、半導体分野における技術とニーズをつなぐ産業支援コミュニティとして、一般社団法人「RISE-A(ライズ・エー)」を設立したと発表した。既に会員募集を始めており、半導体分野の産業創造に向けた共創の場や機会を提供する。RISE-Aの理事長には名古屋大学教授の天野浩氏が就任した。
三井不動産は産業デベロッパーとしてこれまで、「ライフサイエンス分野」や「宇宙産業分野」において一般社団法人を設立し、研究段階から事業化までを支える環境を整備してきた。ここでは、関連する人材が集まる「場」と、新たな連携や実証につながる「機会」を提供している。
三井不動産と半導体関連の有志が中心となって新たに設立したRISE-Aでは、共創の仕組みを作る。これにより、半導体業界の知識や経験が、ユーザー企業や関連する企業、大学や研究機関に共有され、社会に変革をもたらすエコシステムの構築を目指す。
RISE-Aは既に、「特別会員」と「メルマガ会員」の募集を始めている。2025年10月には東京・日本橋のスルガビル内に、会員が利用できる専用施設「RISE GATE NIHONBASHI」を開設し、本格的な活動を始める予定。会員企業に対して、土地や工場など不動産の提供、サプライチェーン構築時のサポートを含む産業支援などを行う。
なお、RISE-Aは会員企業のイノベーションを後押しするため、世界的な半導体研究機関と連携協定を結んだ。具体的には、ベルギーの「imec」や台湾の「工業技術研究院(ITRI)」および、半導体分野を中心に技術資産を提供する「AIST Solutions」「OpenSUSI」などのパートナーから支援を受けることができる。
理事長に就任した天野浩氏は、「(半導体産業は)研究段階で世界の先頭を走りつつも、量産や市場占有で海外企業に後れを取っている。RISE-Aは半導体サプライヤーとユーザー、そして官公庁や大学などの支援者が連携し、新価値を迅速に創造できる場を提供する。これによって、日本半導体産業のさらなる活性化と強い産業力の創成に貢献したい」とコメントした。
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