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2025年は数年に一度の「ビッグチェンジ」イヤー、NVIDIAとAMDの最新GPUを分解:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(94)(4/4 ページ)
今回はNVIDIA Blackwellアーキテクチャを採用した「GeForce RTX 5000」シリーズと、RDNA 4アーキテクチャを採用したAMDの「Radeon」シリーズを紹介する。どちらも、チップ内部の機能配置や端子構成が大きく変わる「ビッグチェンジ」の製品となっている。
シングルシリコンに戻った「Radeon」
図8は2025年3月に販売開始になったAMDの新アーキテクチャRDNA 4搭載のGPU「Radeon RX 9070 XT」(右)と前世代RDNA 3 GPUの「Radeon RX 7800 XT」(左)の様子である。一番大きな違いは、前世代では複数のシリコンを組み合わせるCHIPLETが用いられていたが、新チップRX 9070 XTではシングルシリコンに戻されている点だ。戻されているというのは前々世代の「Radeon RX 6000」シリーズはシングルシリコンだったからだ。
CHIPLETに利点はあるが、シリコン種が増えることで複雑さが増すことは間違いない。製造プロセスが異なるので同軸比較とはならないが、シングルシリコンとすることで、集積密度は90%以上アップしたものになっている。ある世代はCHIPLETで対応し、シングルでも可能になればシングルに戻すという柔軟さが当面は必要だ。AMDには十分なほど柔軟さが備わっている(最新の「Ryzen AI Max+」などでも明らかなので機会あれば報告したい)。
本稿ではIntelの新GPU ARC B580などにも言及する予定で図面を作っていたがいつもの文字数を超えてしまうので割愛した。次回は話題のXIAOMI 3nmチップ「XRING O1」を報告する予定です!
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