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タイワン・セミコンダクターがSiCパワー半導体市場に参入、その狙いは「世界最小パッケージ」1200V SBDで攻める(2/2 ページ)

Taiwan Semiconductorが、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体事業に参入。1200V耐圧品としては「世界最小パッケージ」(同社)となるSiCショットキーバリアダイオード(SBD)製品群を販売開始した。TSCのプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントを務めるSam Wang氏に話を聞いた。

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いまからSiC市場に参入、TSCがみる勝機は?

 SiCパワー半導体市場全般でみると近年、市場の成長鈍化や競争の激化によって主要プレイヤーが戦略の見直しに迫られている状況にある。こうした中でTSCは今回、新たにSiCパワー半導体市場への参入を表明した形だ。

 Wang氏は市場の認識として「SiC市場に激しい競争があることは認識している」と述べつつ、「しかし、より深く見ると、市場、製品はかなり細分化されていることが分かる。650V耐圧の分野では既に多くの競合が存在する一方で、1200V耐圧品では、特に省スペース、省フットプリントのSOD-128やSMBといったパッケージの革新によって市場にさらに革新的な製品を投入できる機会がある」と市場参入による勝機について語った。

 同氏は「適切なセグメンテーションと適切なイノベーションによって、TSCはこの分野で依然として大きな成長機会があると考えている」と強調。既にSOD-128品で、欧州の大手ティア1メーカーから8年間で2000万米ドルのデザインウィンを獲得しているという事例も紹介していた。

MOSFET市場に続き、SiCも日本で本格展開へ

 市場の展開としては、SiCを活用したハイエンドEVシステムや産業用電力システムの普及が進む米国、欧州、日本が中心になるとみている。

 同社は日本では2003年に日本支社を設立し、以来ダイオードを中心に本格的に事業を展開してきた。現在の東京の事務所に加え、2025年中に名古屋市にも事務所を開設予定だ。同社は2025年6月にも、日本のMOSFET市場に本格参入すると発表。日本での事業展開を強化している。

 今回、市場参入と同時に日本市場でのSiC SBD製品群の販売開始も発表したが、日本法人のタイワン・セミコンダクター・ジャパンでカントリーディレクターを務める佐藤正信氏は「日本の市場におけるSiCの活用度合いは、まだ限られた自動車メーカーで、その指定サプライヤー、ティア1メーカーで実現しているような形だ。そして彼らはダイオードではなくSiC MOSFETに焦点を当てている。しかしわれわれのSiCのショットキーダイオードも、必ずブートストラップおよび非飽和保護回路で必要となる。現在、当社日本法人は日本のティア1メーカーのうち95%が既に顧客であり、彼らに対し提案していく」と説明している。

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