ニュース
新波長帯域「X帯」開拓 ファイバー1芯当たり伝送容量10倍に:160Tビット/秒で1040km伝送(2/2 ページ)
NTTは、X帯と呼ぶ新たな超長波長帯を開拓し、波長帯域が27THzという広帯域波長分割多重(WDM)信号を用いて、伝送容量160Tビット/秒で1040kmという長距離光伝送の実証に成功した。
東名間をカバーできる560kmの伝送で189.5Tビット/秒
NTTは、中継間隔が80kmの周回伝送実験系を設け、27THz帯域の光増幅中継伝送実験を行った。光ファイバー伝送路には標準シングルモードファイバーを用いた。波長多重間隔は150GHzを想定し、S帯は54波長8.1THz、C帯は30波長4.5THz、L帯は40波長6.0THz、U帯は28波長4.2THz、X帯は28波長4.2THzの波長多重信号を配置した。
S帯、U帯、X帯の波長多重信号は、C帯またはL帯の波長多重信号を波長帯変換することで生成した。これら全てを合計した波長多重信号は180波長、27.0THz帯域となった。波長帯域はこれまで14.85THzであったが、今回はその1.8倍となる伝送帯域を実現した。
144ギガボーPCS-QAM信号を伝送した後の信号品質を全波長で評価した。この結果、伝送距離は1040km、総伝送容量は160.2Tビット/秒となった。東名間の距離をカバーできる560kmの伝送距離では、総伝送容量189.5Tビット/秒を達成した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
東京大ら、機能性酸化物の「新しい電子状態」を発見
東京大学とNTTは日本原子力研究開発機構と共同で、機能性酸化物の新しい電子状態を発見した。ストロンチウムルテニウム酸化物「SrRuO3」において、一体化しているとみられていた「ルテニウム金属」と「酸素原子」の電子状態が、実際は異なる電子状態であることを初めて突き止めた。高速/高出力の300GHz帯信号生成システムを実現 6G開発に弾み
日本電信電話(NTT)とNTTイノベーティブデバイスおよび、Keysight Technologiesは、高速無線通信などに用いられるJ帯フルバンド(220G〜325GHz)をカバーする「増幅器モジュール」と、信号のひずみを高い精度で補償できる「測定システム」を開発した。これらを組み合わせ、300GHz帯で0dBmという高い出力と、280Gビット/秒という高速データレートの信号生成に成功した。フォトダイオードをSiC上に接合、高出力テラヘルツデバイスを実現
OKIとNTTイノベーティブデバイスは共同で、異種材料接合によって高出力テラヘルツデバイスを高い歩留まりで量産できる技術を確立した。この技術を用い、6Gや非破壊センシングに用いられるテラヘルツデバイスの量産を2026年より始める。AI活用で半導体薄膜の材料分析を自動化、NTTが新手法
NTTは、光通信用デバイスに用いる半導体薄膜の成膜条件を自動導出する手法を開発した。AIを用いた分析に半導体物性の知識を組み合わせることで精度を高めたものだ。これによって、デバイス製造業務の効率化が実現する。150m上空から人を検知可能 4K映像をエッジで推論できるLSI
NTTは、4Kカメラなどで撮影した高精細の映像を、エッジ/端末機器上でリアルタイムAI推論できる「AI推論LSI」を開発した。このLSIをドローンに搭載すれば、高さ150mの上空から人や物を検出できるという。AlNパワー半導体開発加速に弾み 電流輸送機構を解明
東京大学の研究グループと日本電信電話(NTT)は、窒化アルミニウム(AlN)系半導体を用いたショットキーバリアダイオード(SBD)を作製し、その電流輸送機構を解明した。今後、AlN系半導体を用いた低損失パワー半導体デバイスの実現に取り組む。