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チップ分解で20年をたどる 「万華鏡」のように変化し続ける半導体業界この10年で起こったこと、次の10年で起こること(95)EE Times Japan20周年特別寄稿(5/5 ページ)

EE Times Japan 創刊20周年に合わせて、半導体業界を長年見てきたジャーナリストの皆さまや、EE Times Japanで記事を執筆していただいている方からの特別寄稿を掲載しています。今回は、最新チップの分解と鋭い分析が人気のテカナリエ代表取締役CEO、清水洋治氏が、分解を通してみてきた半導体業界20年の大きな変化を語ります。

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チップのトランジスタ数は25年で4500倍に

 図9はNVIDIAの25年前の「NV11」と2025年の最上位の「GeForce RTX 5090」の比較である。今回はEETimes Japan 20周年ということで2005年のシリコンで比較しようと思ったが、四半世紀の差をお伝えしたく25年前のものとさせていただいた。複数の項目で数千倍の数字進化が成されている。次の四半世紀も同様の進化が続いたとしたら(ペースは落ちるものの)、現代のわれわれが想像できないほどの変化が訪れるだろうと思われる。単純すぎる内容で嘲笑されるかもしれないが、図9の変化には約9000日を要している。搭載されるトランジスタ数は約4500倍。1日当たりの増加率は実に0.22%だ。驚異的な数字である。

<strong>図9:NVIDIAのチップにおける、25年間の変化</strong>[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート
図9:NVIDIAのチップにおける、25年間の変化[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

変化し続ける半導体業界

 図10は本稿の締めくくりとして、20年前、2005年の年号のあるシリコンを並べ、そこに刻印されている当時のメーカー名と、それがM&Aや統合を経てどのような社名に変わっているかを追記してみた。実際にはさらに多くの写真を所有しているが、掲載できるスペースの関係から12社に絞らせていただいた。中国メーカーの台頭や老舗の統廃合などを含め、半導体業界は20年で大きく姿を変えていることが分かる。まるで、見るたびに模様の形が変わる万華鏡のようだ。半導体業界だけでなく、あらゆる産業において、相手の姿が見えないところで戦えるほど甘くない。過剰に恐れることも間違っている。まずは変化し続ける万華鏡を見ることが重要と考える。

<strong>図10:2005年の年号があるチップとそのメーカー名。20年をへてどう変わったのか</strong>[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート
図10:2005年の年号があるチップとそのメーカー名。20年をへてどう変わったのか[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

 最後に、EETimes Japanのますますの発展を祈念いたします。今後も機器分解やチップ開封をEETimes Japanに投稿し続けていくので、どうぞよろしくお願いいたします。

EE Times Japan創刊20周年記念特集サイト

執筆:株式会社テカナリエ

 “Technology” “analyze” “everything“を組み合わせた造語を会社名とする。あらゆるものを分解してシステム構造やトレンドなどを解説するテカナリエレポートを毎週2レポート発行する。会社メンバーは長年にわたる半導体の開発・設計を経験に持ち、マーケット活動なども豊富。チップの解説から設計コンサルタントまでを行う。

 百聞は一見にしかずをモットーに年間300製品を分解、データに基づいた市場理解を推し進めている。


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