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「富岳NEXT」開発が始動 GPUでNVIDIA参画、Rapidus採用の可能性も:富岳の100倍の性能を目指す(3/3 ページ)
理化学研究所(以下、理研)は、スーパーコンピュータ「富岳」の次世代となる新たなフラグシップシステム(開発コードネーム「富岳NEXT」)の開発体制が始動したと発表した。全体システムやCPUの基本設計は富岳から続けて富士通が担うほか、今回初めてGPUを採用し、その設計にNVIDIAが参画する。
性能向上の鍵はソフトウェア/アルゴリズム
2021年に稼働した富岳は、2012年に稼働した京に比べて100倍を超える性能向上を達成した。このとき、ハードウェア性能は約40倍に、ソフトウェア性能は約3倍に向上した。しかし、半導体微細化が限界に近づく現在、ハードウェア性能の大幅な向上は難しくなりつつある。そのため、富岳NEXTではソフトウェア/アルゴリズムの革新による新しいアプローチが求められる。
ソフトウェア/アルゴリズムの開発を主導する理研は、ハードウェアの性能を最大限に引き出すために、HPCとAIの両面に最適化された統合システムソフトウェアの開発を目指すという。
富岳NEXTは2030年の稼働を目指し、開発を進める。2026年2月には基本設計を終え、2026年度以降に詳細設計に移る計画だ。2028〜2029年度には製造と設置、調整を行う。
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