高解像度で高精度のダイレクト露光装置を開発、25年度内に製品化:線幅1μmの回路形成に成功
オーク製作所は、フォトマスクを使わずに半導体基板へ回路パターンを焼き付けることができる「ダイレクト露光装置」を開発した。より高い解像性や位置合わせ精度を実現できることから、先端半導体パッケージの製造コストを低減可能だという。
チップレットによる半導体パッケージの製造コストを低減可能
オーク製作所は2025年8月、フォトマスクを使わずに半導体基板へ回路パターンを焼き付けることができる「ダイレクト露光装置」を開発したと発表した。より高い解像性や位置合わせ精度を実現できることから、チップレット集積などで需要が伸びている先端半導体パッケージの製造コストを低減可能だという。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、委託事業である「省エネエレクトロニクスの製造基盤強化に向けた技術開発事業」の一環として、半導体製造装置の高度化に取り組んでいる。こうした中で、フォトマスクを用いないダイレクト露光装置の高度化に向けた開発を、2022年度よりオーク製作所と共同で進めてきた。
オーク製作所は今回、フォトマスクデータに基づき空間光変調素子を高速で制御する技術や高解像光学系を開発した。これによって、回路基板上の感光性材料に対し線幅1μmの回路を形成することに成功した。また、開発した微細化技術により、有機材料上で線幅2μmの銅めっき配線が形成できることを確認した。
位置合わせ精度も向上させた。高い精度で繰り返し再現性に優れた本体ステージの開発と同時に、基材上のアライメントマークを高精度に読み取るカメラを用いたリアルタイム位置補正技術を開発した。これにより。510×515mmの露光サイズ全面で0.5μmという高い精度で回路パターンの配置が可能となった。
さらに、リアルタイム位置補正技術を応用し、ダイシフトに対応するためのダイバイダイ・アライメント技術も開発した。複数の配線接続用チップをインターポーザ−内に埋め込み、その上に実装した半導体チップ間を電気的に接続する場合がある。この時、埋め込んだ接続チップの位置がずれて、設計データの位置とは異なることがある。これを正確に検出し、焼き付けるパターンの位置を補正する機能である。
オーク製作所は、開発したダイレクト露光装置を2025年度内に製品化する予定。さらに、2026年度にかけて装置のシリーズ化も計画している。
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