ASMLがフランスのAI新興に13億ユーロ出資、筆頭株主に:「研究開発/運用でAI活用」
ASMLが、フランスのAI新興Mistral AIに13億ユーロを出資すると発表した。同時に戦略的パートナーシップ締結も発表。ASMLの製品ポートフォリオ全体および研究開発/運用分野でAIモデルの活用を推進し「ASMLの顧客に対し市場投入期間の短縮と高性能な総合リソグラフィシステムの提供を実現する」としている。
ASMLは2025年9月9日(オランダ時間)、フランスのAI新興Mistral AIに13億ユーロを出資すると発表した。ASMLは、Mistral AI株式の約11%を保有する筆頭株主になる。
市場投入期間の短縮や高性能システムの提供に生かす
ASMLは、Mistral AIとの長期的な協業契約に基づく戦略的パートナーシップ締結も発表。この提携によって、ASMLの製品ポートフォリオ全体および研究開発/運用分野におけるAIモデルの活用を推進し、「ASMLの顧客に対し市場投入期間の短縮と高性能な総合リソグラフィシステムの提供を実現する」としている。
ASMLの社長兼CEOであるChristophe Fouquet氏は「今回の協業は、AIによって実現される革新的な製品とソリューションを通じてASML顧客に明確な利益をもたらすことを目指したものだ。また、将来の機会に対応するための共同研究の可能性も提供する」とコメントしている。
Mistral AIの共同創業者兼CEOであるArthur Mensch氏は「最先端のAI専門知識とASMLの比類なき産業リーダーシップ、高度なエンジニアリング能力を融合させるこの長期パートナーシップを誇りに思う。今回の提携は当社のAI市場における提案力、地位、価値を強化すると確信している。両社は協力し、世界の半導体/AIバリューチェーン全体で技術進歩を加速させる」と述べている。
今回の出資の一環として、ASMLの最高財務責任者(CFO)であるRoger Dassen氏がMistral AIの戦略委員会に加わり、同社の将来戦略と技術決定に対する助言役を担う。
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