オムロンが祖業の電子部品事業の分社化を検討開始:26年4月をめどに
オムロンが、2026年4月をめどに電子部品事業の分社化する検討を開始した。同社は「従来の高い品質に加え、開発スピードの向上や収益構造の見直しといった取り組みを通じた事業基盤の変革を加速していくため、自律した経営体制を確立することを目指す」と述べている。
オムロンは2025年9月19日、2026年4月をめどにデバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業:以下、DMB)を分社化する検討を開始したと発表した。同社は「従来の高い品質に加え、開発スピードの向上や収益構造の見直しといった取り組みを通じた事業基盤の変革を加速していくため、自律した経営体制を確立することを目指す」と述べている。
電子部品事業はオムロンの祖業であり、創業以来リレー、スイッチ、コネクターなどの電子部品を主力製品として展開。2024年度の売上高は1054億円と全体の13%を占めている。
同事業では近年、電気自動車(EV)向け高容量リレー需要の拡大など市場の成長が見込まれる一方で、新興企業の参入によって競争環境が激化しているという。オムロンは「こうした環境のもとで持続的かつ収益性の高い成長を確立するためには、DMBの強みである品質を維持しながら、事業スピードとコスト競争力を一層強化していくことが不可欠だ」と説明。また、新製品の開発/生産やグローバル営業体制の強化に向けてもこれまで以上の投資拡大が必要とし「その実現に当たって、他社との協創や外部資源の活用などの多様なパートナーシップの可能性も視野に入れて検討していく」と述べている。
オムロンは今後、2026年4月1日をめどDMBを分社化することを目指す方針。同社は「対象となる各国の法令等に従い、本分社化の実行に向けた課題や選択肢の検討を進めていく」とコメントしている。
オムロンはこれまでも、2003年にヘルスケア事業、2010年に車載電装部品事業、2011年に社会システム事業を分社化してきた。
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