AMD、OpenAIに6GW規模のGPU提供へ 「NVIDIA一強」を崩せるか:「AMDの大きな勝利」とアナリスト(2/2 ページ)
AMDとOpenAIが戦略的提携を締結した。この提携は、AMDに今後5年間で1000億米ドル以上の収益をもたらすと予想される。さらに、OpenAIはAMDの株式の10%を取得する権利を得る。これによってAMDがNVIDIAからGPU市場のシェアを奪える可能性がある。
「NVIDIA一強」を崩せるか
この画期的な取引におけるAMDのもう1つのメリットは、AIコンピューティング市場におけるNVIDIAの優位性に挑戦できるようになることだ。Gold氏は「これは、AMDがNVIDIAの処理能力に匹敵するようになったことと、かつてデータセンター市場でIntelに対抗した時と同様に、競争に向けてソフトウェア戦略を強化したことを裏付けている」と述べている。
みずほ証券によると、NVIDIAはAIチップ市場の70%以上を占めているという。AMDのプロセッサはゲームやPC、従来型データセンターサーバなどで広く使用されているが、先進のAIシステム向けの高価なコンピューティングチップへの進出は進んでいない。AMDやその他のNVIDIAのライバル企業はより手頃な価格の代替AIチップの提供を模索している。
AMDとOpenAIの今回の提携は、AI分野におけるNVIDIAの優位性を揺るがす可能性がある。Gold氏は「他の大手AI企業も追随し、AMDのデータセンターチップを導入する可能性が高い。これはAMDにとって大きな勝利だ。AI分野でNVIDIAの真の競合企業となり、AIプロセッサの第1選択肢になり得る能力を示している」と述べている。
OpenAIとAMDの提携は2025年9月に発表されたNVIDIAとの1000億米ドル規模の契約とは異なり、すでに確定している。これは注目すべき重要な点だ。NVIDIAは、新しいAIデータセンターを構築するための「コンピューティングおよびネットワークの戦略的優先パートナー」になるが、この契約はまだ完了していない。つまり、OpenAIとNVIDIAは基本合意書に署名したが、規制当局への申請に関する詳細はまだ明らかにされていない。
Nano氏は、両契約の構造が大きく異なる点を認めている。また、OpenAIのAltman氏の発言を引用して、「(OpenAIは)NVIDIAからの購入を段階的に増やしていく計画だ。世界ははるかに多くのコンピューティング能力を必要としている」と述べた。
MetaやMicrosoftがOpenAIに続く可能性も
AMDのエグゼクティブバイスプレジデントを務めるForrest Norrod氏は「この契約は、AMDだけでなく業界のダイナミクスに変革をもたらす」と述べている。AMDはAIハードウェアとソフトウェアに関して「NVIDIAに代わる信頼できる選択肢」としての地位を築こうと努力してきて、ついに大きな勝利を手にした。
AMDの2024年のInstinct GPUの売上高は50億米ドルで、NVIDIAのデータセンター向けコンピューティング製品の売上高は1022億米ドルだった。OpenAIとの提携で、状況は変わるかもしれない。AMDがNVIDIAからシェアを奪い、MetaやMicrosoftといったハイパースケーラーをも引き寄せる可能性がある。
Gold氏は「AIの重点は、2〜3年以内に、大規模なデータセンターに依存した学習から推論に移っていくだろう。しかし、その間にもGPUには巨大な市場があり、AMDはこの収益のかなりの部分を獲得できる」と述べる。同氏はさらに「AMDとNVIDIAの両方のチップを製造しているTSMCにとっても、これは大きな勝利だ」と指摘する。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
NVIDIAとAMDが米政府に中国売上高の15%を支払い、影響は
NVIDIAとAMDは「中国から得た売上高の15%を米国政府に支払う」という異例の契約に合意したとされるが、米国政府はそれに伴って、対中輸出規制の緩和にも合意しているとみられる。この契約は「厄介な前例」となり、今後の貿易戦争をさらに激化させる可能性がある。
2025年は数年に一度の「ビッグチェンジ」イヤー、NVIDIAとAMDの最新GPUを分解
今回はNVIDIA Blackwellアーキテクチャを採用した「GeForce RTX 5000」シリーズと、RDNA 4アーキテクチャを採用したAMDの「Radeon」シリーズを紹介する。どちらも、チップ内部の機能配置や端子構成が大きく変わる「ビッグチェンジ」の製品となっている。
AMDがAI新興Untether AIのエンジニアチーム「だけ」買収
AMDは2025年6月、カナダのトロントに拠点を置くAIチップのスタートアップ企業であるUntether AIのエンジニアリングチームを買収した。技術は買収していないので、Untether AIのプロセッサ「SpeedAI」およびソフトウェア開発キット(SDK)「ImAIgine」は今後供給もサポートもされないという。
「過去10年間で信頼を失ってきた」Intelから離れたAlteraが目指す道
AlteraのCEOであるRaghib Hussain氏は、2025年5月に現職に就任して以来初となるメディアインタビューに応じ、独立したFPGAメーカーとなった同社の戦略的優先事項について語った。
Intel低迷でSamsungが笑う? パッケージングのエース級人材が移籍
Intelの業績低迷で、人材の流出が相次いでいる。Wall Street Journalの報道によると、Intelの半導体パッケージングの専門家が、ファウンドリー事業の最大のライバルであるSamsungに移籍するという情報が明らかになった。