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300mm化、双方向スイッチ、車載――Infineonの最新GaNデバイス技術「数年で製造コストをSiと同等に」(1/3 ページ)

Infineon Technologiesのオーストリア・フィラッハ拠点で2025年10月、同社の窒化ガリウム(GaN)事業部門責任者であるJohannes Schoiswohl氏が最新技術について語った。

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 Infineon Technologies(以下、Infineon)は2025年10月、オーストリア・フィラッハ拠点でメディアやアナリスト向けのイベントを実施。同社の窒化ガリウム(GaN)事業部門責任者であるJohannes Schoiswohl氏が最新技術について語った。

InfineonのGaNパワー半導体の差別化要素

 Infineonは、2015年のInternational Rectifier買収でGaNパワーデバイスに関する製品/技術を獲得。パナソニックとの協業による共同開発品であるノーマリーオフのGaN on シリコン(Si)トランジスタ構造を採用した「CoolGaN」製品の展開を進め、さらに2023年にはGaN Systemsを買収するなど事業を強化してきた。

300mm GaNウエハーを手に語る、GaN事業部門責任者のJohannes Schoiswohl氏
300mm GaNウエハーを手に語る、GaN事業部門責任者のJohannes Schoiswohl氏[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

 Schoiswohl氏はGaNパワー半導体の特長について、民生用のACアダプターを例に挙げて説明。高速スイッチングによって電力損失を低減でき、効率が向上。同じフォームファクターでより多くの電力を供給可能となり、逆に同じ供給電力なら50%の小型化を実現できるとし「これはGaNによって得られる重要なメリットだ。市場に出回っている多くの新しいマルチポートアダプターは既にGaNを採用している。推定では既に70%程度はGaNが使用されているだろう」と語った。

 民生市場はまずGaNパワー半導体の本格採用が始まった市場で、GaNにとって現在最大の市場だが、Schoiswohl氏は「GaNは充電器/アダプターや、車載充電器、電源装置、サーバシステムに至るまで、主に機器の小型化という点で価値を提供する。高効率によって省エネを実現し、脱炭素化を支援し、コスト削減も可能になる。例えデバイス単体では高価でも、GaNへの移行によってシステムコストを削減できるのだ」と幅広い市場での機会を強調した。

 そのうえでInfineonのGaN市場における差別化要素として、研究開発に多額の投資を続け構築した350という「業界で最も広範」(同社)な特許ポートフォリオや、Siや炭化ケイ素(SiC)から得た知見を活用および統合することで実現する高い品質/信頼性、幅広いGaN製品ポートフォリオ、安定した供給を可能とする巨大な生産能力および、さらなる技術/ソリューションへの投資能力などを挙げた。

GaNパワー半導体の特長Infineonの差別化要素 GaNパワー半導体の特長とInfineonの差別化要素[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

 また、400人以上の専門家とシステムノウハウを有する点も強調し「製品を開発、製造し、さらに完全なシステムソリューションを構築して顧客に使用方法を示している。サーバ、車載充電器、太陽光マイクロインバーター向けなど、GaNやSiCを活用し、サイズ縮小を実現する方法を実証する。これには新しい制御アルゴリズムやアーキテクチャが必要だが、当社では専任チームが担当し、そうした革新を顧客に提供している」と語った。

 なお買収したGaN SystemsはTSMCに製造を委託していたが、TSMCは2027年7月までにGaNファウンドリー事業から撤退することを明らかにしている。Schoiswohl氏は「現状では、今後は自社製造能力と自社技術による製品投入に移行することになる」と説明した。

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