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「業界初」MIPI A-PHY内蔵の車載イメージセンサー、ソニーが開発小型、低消費電力、低コスト実現(2/2 ページ)

ソニーセミコンダクタソリューションズが、「業界で初めて」(同社)MIPI A-PHYインタフェースを内蔵したCMOSイメージセンサーを開発した。さらに低消費電力な独自の駐車監視機能も搭載した。

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独自の駐車監視機能、100mW以下で監視し検知時にフル解像度へ

 さらにIMX828では今回、駐車時には動体検出を低消費電力で行い、車載ECUに通知するという独自の駐車監視機能を初搭載した。既存の駐車監視機能は、基本的にセンサーが通常モードに近い形で動作しているなど、電力消費が課題とされていた。同機能はこの課題に対応するものだという。

 具体的には、駐車監視モード時は、低解像度および1〜10フレーム/秒(fps)といった低フレームレートで撮像することで、消費電力を100mW以下に抑える。その間、ECUもオフの状態で良い。この監視モードで撮像を続けつつ、動体をセンサーで検出した際にはECUへ通知し、センサーもフル解像度の撮像モードに遷移するという仕組みだ。

駐車監視機能によって動体を検知する前後の撮影画像のイメージ(IMX828実物での撮像ではなくイメージ)
駐車監視機能によって動体を検知する前後の撮影画像のイメージ(IMX828実物での撮像ではなくイメージ)[クリックで拡大] 出所:ソニーセミコンダクタソリューションズ

独自画素構造で、「業界最高水準」の飽和特性

 このほか、独自の画素構造の採用によって「業界最高水準」(同社)という40Kcd/m2の飽和特性を実現した。例えば、LED信号機の赤など、高輝度な対象を撮像する場合、従来のイメージセンサーでは必要な飽和輝度をカバーしておらず、黄色く表示される場合があったという。今回、SSSは、MIM容量の追加などの改善によって飽和特性を向上。昼間の赤信号やテールランプの赤色LEDなど高輝度な対象物でも飽和せずに撮像でき、誤認識リスクを低減した。これによって最大150dBのダイナミックレンジを実現し、高温環境(最大ジャンクション温度125℃)でも安定したノイズ性能を維持するとしている。

 さらにIMX828では、Mobileyeとの協業による新たなHDR駆動モードも搭載している。同モードは、露光条件の異なる2種類のHDR合成画像を連続して出力。これによって低照度環境下での特性を向上するとともに、動く被写体のブレ(モーションブラー)を低減できるという。

 IMX828は、2025年11月にサンプル出荷を開始する予定で、自動車向けの信頼性試験基準「AEC-Q100」の「Grade 2」を量産までに取得予定だ。自動車向け機能安全規格「ISO 26262」に準拠し、ハードウェアメトリクスはASIL-B、開発プロセスはASIL-Dに対応し「車載カメラシステムの信頼性向上に貢献する」としている。

 SSSは、今回のA-PHY以外の、さまざまな車載向け高速伝送インタフェース内蔵品についても今後の市場の要求に応じて対応していく方針だ。内山氏は「インタフェースのスタンダード化は今後必ず発生していくもので、置き換えの需要は間違いなく見込める」と説明。まずD-PHY+各インタフェースという形で導入し「最終的には複数インタフェース搭載品の展開の可能性もある」としている。

IMX828の主な仕様
型名 IMX828
有効画素数 3848(H)×2168(V) 約834万画素
イメージサイズ 対角9.28mm(1/1.7型)
ユニットセルサイズ 2.1μm
フレームレート(最大、全画素読み出し) 45フレーム/秒(fps)
感度(標準値 F5.6, 1/30秒蓄積) 1222mV(Green Pixel)
ダイナミックレンジ(RGB) 120dB(LEDフリッカー抑制機能あり)
150dB(ダイナミックレンジ優先)
電源電圧 アナログ 3.3(±0.165)V
デジタル 1.1(±0.05)V
インタフェース 1.8(±0.10)V
インタフェース MIPI D-PHY + I2C または MIPI A-PHY
パッケージ 117 pin BGA または ベアダイ
パッケージサイズ 11.85 x 8.60mm

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