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JSRとIBM、AIを活用し半導体材料を共同研究へ:革新的な次世代の材料開発を加速
JSRとIBMは2025年11月、AIを活用して半導体材料の開発を強化するため、共同研究契約を結んだ。両社は化学産業に特化したAIの共同研究プログラムをスタートさせる。
材料科学に関するJSRの知見と、AI分野におけるIBMの専門性を融合
JSRとIBMは2025年11月、AIを活用して半導体材料の開発を強化するため、共同研究契約を結んだと発表した。両社は化学産業に特化したAIの共同研究プログラムをスタートさせる。
JSRとIBMはこれまでも、四半世紀にわたってAI研究を含めさまざまな共同研究を行い、半導体産業の発展に寄与してきた。今回の共同研究では、材料開発に特化した基盤モデルの拡張や生成AIなどを活用してデータ活用基盤の整備を行う。その上で多様な材料システムを統合的に運用できるプラットフォームを構築し、さまざまな材料表現を理解しモデル化するためのナレッジ構築に向けた共同研究を行う予定である。
日本アイ・ビー・エムの執行役員研究開発担当兼東京基礎研究所所長である福田剛志氏は「材料科学におけるJSRの数十年にも及ぶ知見と創意工夫に、IBMのAI分野における専門性と洞察力を融合させることで、新たな発見を引き出し次世代材料の開発を加速させていきたい」とコメントした。
JSRの上席執行役員(電子材料事業次世代研究(DS/MI等)担当)木村徹氏は「共同研究を通じて、革新的な材料開発の加速を実現し、業界全体の発展に貢献していく」と述べている。
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