原子1個分以下の精度で計測、リガクの膜厚計測装置:キオクシアが導入決定
リガクは、次世代メモリやAIチップなどの先端半導体製造ラインにおいて、ウエハーの膜厚や組成を高い精度で計測できるインラインX線膜厚/密度モニター「XTRAIA MF-3400」を開発、販売を始めた。同社にとって第4世代となる新製品は、従来機に比べ測定能力が最大2倍となった。
ALD膜から配線まで、さまざまな膜種の膜厚や密度を測定
リガクは2025年12月、次世代メモリやAIチップなどの先端半導体製造ラインにおいて、ウエハーの膜厚や組成を高い精度で計測できるインラインX線膜厚/密度モニター「XTRAIA MF-3400」を開発し、販売を始めたと発表した。同社にとって第4世代となる新製品は、従来機に比べ測定能力が最大2倍となった。
XTRAIA MF-3400は、X線を使い「蛍光X線(XRF)」や「X線反射率(XRR)」「X線回析(XRD)」といった3つの分析機能を搭載している。75/35μmという微小なスポット径の単色化マイクロX線ビームとパターン認識機能を搭載。パターンウエハー上の微小な領域を利用して、ALD(原子層堆積)膜から配線まで、さまざまな膜種の膜厚、密度を測定できる。
極薄膜の組成や膜厚、結晶性など評価したい項目に合わせ最適な測定条件を設定しておけば、自動で測定できる。しかも、用途に応じて測定モジュールを選択でき、ユーザーの製造ラインに最適な計測環境を構築できる。
XTRAIA MF-3400は、従来機に比べX線の強さを約2倍とした。そして新たな搬送システムと組み合わせたことによって、1時間当たりのウエハー測定枚数を大幅に改善した。また、50μm程度の領域でも、原子1個分以下の精度で膜厚測定が可能だという。
XTRAIA MF-3400は、キオクシアおよびキオクシア岩手の3D NANDフラッシュメモリの量産ラインに導入される予定だ。さらに今後量産化が期待される、大容量で高速データ転送を可能にする次世代メモリの製造ラインでも同装置の活用が予定されている。このほかDRAMおよびロジック半導体メーカー各社でも採用が検討されているという。
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