松尾研が見るAIの今と未来 投資はフィジカルAIに集中、データ収集が鍵に:「人間の役割が再定義される」(2/2 ページ)
松尾研究所 副社長の金剛洙氏は「SEMICON Japan 2025」内のセミナープログラム「AI最前線」に登壇。現在のAIモデルのトレンドや、AIエージェント、フィジカルAIといった今後の活用方法について語った。
AIのこれから 投資はフィジカルAIに集中
今後のAIの進化については、金氏は「AIエージェント」「ロボット(フィジカルAI)」の2つの方向で進んでいくとし、「AIエージェントは頭脳労働を、ロボットは肉体労働を効率化するものだ」と説明した。
AIエージェントが行う業務の例としては、調べ物やデータ分析、資料作成がある。自律的にタスクを行って振り返り、改善することも可能だ。金氏は「企業の中で若手が担ってきたような仕事は、もうAIができてしまうということになる」と分析し、「人間の役割が再定義される時代も近づいているのではないか」とした。
実際に、AIエージェント利用を踏まえて人員配置を見直す企業も出てきている。Salesforceは2025年9月、AIエージェントの導入で、カスタマーサポートの約半数にあたる人員を削減できたと発表。DeNAも2025年2月、既存事業を担う人員を現在の50%に削減し、残る50%の人員は新規事業立ち上げに再配置する方針を明らかにした。
ロボットの進化も急速だ。従来のロボットは事前に決められた動きしかできなかったが、AIの活用で柔軟な動作ができるようになった。現在では落ちているコインをつまみ上げたりネジを回したりという繊細な作業も担えるようになってきている。投資も活発で、「米国や中国のベンチャーキャピタルに話を聞くと、生成AIに関する新しい投資はほとんどフィジカルAIに集中している」(金氏)という。
ロボットは言語分野と違い、実世界のデータを学習させる必要がある。松尾研究所も参画するAIロボット協会(AIRoA)では、あらゆる業界でデータを共有して基盤モデルを作る取り組みなどを進めている。
金氏は「AIは急速に進化している。AIエージェントやフィジカルAIの登場で、頭脳労働も肉体労働も代替されるような未来が今まさにやってきている」と語り、セミナーを締めくくった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
サーバ/PCでシェア拡大のAMD 今後は「フィジカルAIで業界をリード」
AMDの日本法人である日本AMDは、技術イベント「AMD Advancing AI 2025 Japan」とプレス向け説明会を開催。データセンター/クライアント/組み込みなどの領域での技術アップデートや事業戦略を説明した。
加速するヒューマノイドロボット開発に求められる技術とは? TIが語る
Texas Instrumentsの日本法人である日本テキサス・インスツルメンツは「EdgeTech+ 2025」(2025年11月19〜21日、パシフィコ横浜)にて、「先進的半導体技術が切り拓くヒューマノイドロボットの未来」と題した基調講演に登壇。大きな変化を遂げてきたロボティクス技術のこれまでと現在、そしてヒューマノイドロボティクスの発展に向けて必要とされる技術、TIが提供するソリューションについて取り上げた。
「フィジカルAI開発を加速」STがマイコン用学習済みAIモデル群を発表
STマイクロエレクトロニクスは、STM32マイコン向けに最適化された学習済みAIモデルライブラリ「STM32 AI Model Zoo」に新たなモデルを追加した。併せてプロジェクトサポートも強化する。
「FPGAはフィジカルAIに最適」 Altera CEOが語る将来性
日本アルテラは2025年11月10日、Altera CEOのRaghib Hussain氏による記者説明会を開催した。日本市場における意気込みや、フィジカルAIでのFPGA活用などについて紹介した。
エッジAI同士が協調 フィジカルAIで目指す「全体最適の製造DX」
製造業では、製造プロセスのデジタルトランスフォーメーション(DX)のためのデータ活用やAI導入が進んでいる。AIアルゴリズム開発やAI導入支援を行うエイシングのCEO 出澤純一氏に、製造業のデータ活用/AI導入の現状や課題、AI同士が協調して工場全体の最適化を目指す「スマートインダストリー構想」について聞いた。