基準電圧の「空白地帯」に訴求 EV用シャントレファレンスIC:高精度でも安価
エイブリックは2026年2月18日、車載用シャントレファレンスIC「S-19760/1シリーズ」を発売した。「業界最高」(同社)だという出力電圧精度±0.1%や、出力電圧温度係数20ppm/℃(動作温度:−40〜125℃)を実現し、高精度な基準電圧を供給するという。
エイブリックは2026年2月18日、車載用シャントレファレンスIC「S-19760/1シリーズ」を発売した。アプリケーションが正確に動作するための基準電圧を生成する「電圧レファレンス」カテゴリーの製品で、車載用A-Dコンバーター(ADC)およびコンパレーターの基準電圧や、インバーター、バッテリーマネジメントシステム(BMS)などでの使用を想定する。
特許回路で「業界最小」温度係数を実現
電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)は、モーター制御のために各種データをセンサーでモニタリングしている。このセンサー値を正確にデジタル変換するには、ADCに高精度な基準電圧を供給する必要がある。
従来だと、電源レファレンスにはリニアレギュレーター(LDO)か、より高精度なシリーズレギュレーターが用いられてきた。ただしLDOとシリーズレギュレーターの性能、価格差は大きく、その中間にあたる製品は古いものしかなかったという。
EVの発展によってセンシング対象が増えてきたことで、LDOよりも高精度、かつシリーズレギュレーターよりも安価な製品の需要が増えてきたため、「空白地帯」を埋めるべく開発した。
S-19760/1シリーズでは、「業界最高」(同社)の出力電圧精度±0.1%や、「業界最小」(同社)の出力電圧温度係数20ppm/℃(動作温度:−40〜125℃)を実現し、過酷な温度環境でも高精度な基準電圧の出力が可能だとする。「これまでだと出力電圧温度係数は50ppm/℃程度が市場最小値だったが、特許回路によって20ppm/℃を実現した。シビアな数値が出るButterfly法で算出していることもポイントだ」(エイブリック担当者)
フィルター回路を内蔵することで、出力ノイズを28μVrmsに抑えた。シャント電流はS-19760が15mA、S-19761が30mAで、電流値の大きいS-19761は1個のICを複数回路の基準電圧に使えるため、部品数削減にも寄与する。
パッケージは業界スタンダードの「SOT-23-3」と、小型/薄型の「HSNT-8(1616)B」(1.6×1.6×0.41mm)を用意する。サンプル価格は120〜280円だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ミネベアミツミ、初の通期営業利益1000億円超え視野に
ミネベアミツミは2026年2月5日、2026年3月期第3四半期(2025年10月1日〜12月31日)の決算を発表した。売上高は4539億円で前年同期比22.8%増、営業利益は308億円で同17.8%増、純利益は208億円で同19.4%増だった。同年通期業績予想も上方修正し、営業利益1000億円超えを目指す。
実装面積を20%縮小可能 車載カメラ向け小型PMIC
エイブリックは2025年11月25日、車載カメラ向けの小型パワーマネジメントIC(PMIC)「S-19560B」シリーズを発売した。降圧DC-DCコンバーター2チャネルとLDOレギュレーター1チャネルの計3チャネル出力で、同社の小型LDOと組み合わせれば「実装面積を約20%縮小できる」という。
電池不要の漏水センサーを欧米で発売 水冷AIサーバなどで需要見込む
エイブリックは2025年10月28日、バッテリーや電源なしで稼働する無線式漏水センサー「バッテリレス漏水センサ」を、米国およびEU市場で発売することを発表した。各地域の通信、安全認証を取得し、通信距離や動作温度も向上させた。
小型で感度0.8mTの車載用2DデュアルホールラッチIC、エイブリック
エイブリックは2025年9月、異なる2方向の磁束密度を検知可能な車載用2DデュアルホールラッチIC「S-57W1/W2 Sシリーズ」を発売した。小型、薄型のHSNT-6(2025)パッケージで0.8mTの感度、8.4マイクロ秒の出力時間に対応する。
動作時消費電流2.0μA 48V補機バッテリー向け高耐圧LDO
エイブリックは2025年9月、48Vの補機バッテリーに対応した車載用高耐圧LDOリニアレギュレーターIC「S-19230/1シリーズ」を発売した。動作時消費電流2.0μAを実現していて、オープンループ保護回路も搭載する。


