Infineon、AI電源事業が驚異的成長 「売り上げ3年で10倍に」:新工場は26年7月に開所
Infineon Technologiesはドイツ・ドレスデンにおける300mmウエハー新工場の建設が前倒しで進んでいて、開所は2026年7月2日になると明かした。3年で10倍の成長を見込むAIデータセンター向け電源事業の需要に対応するため、フル稼働時には年50億ユーロ程度の売上高を見込むとする同工場の生産立ち上げを加速していく。
Infineon Technologies(以下、Infineon)はドイツ・ドレスデンにおける300mmウエハー新工場の建設が前倒しで進んでいて、開所は2026年7月2日になると明かした。同社CEOのJochen Hanebeck氏は「急速に拡大するAIチップ需要に最適なタイミングだ」と説明。3年で10倍の成長を見込むAIデータセンター向け電源事業の需要に向け、フル稼働時には年50億ユーロ程度の売上高を見込むとする同工場の生産立ち上げを加速していく。
27会計年度には売り上げ25億ユーロに
Infineonは2026年2月19日(ドイツ時間)、株主総会を開催。Hanebeck氏が同社事業に関して説明し、特にAIデータセンター向け電源ソリューションにおける高い需要と同社の強みを強調した。
同社ではシリコン、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)という主要3材料のパワーデバイスおよびパワースイッチやゲートドライバー、統合型コントローラーなどのアナログ半導体を組み合わせ、発電から送配電網、AIプロセッサ近傍までのAIインフラ全般に対応するソリューションを展開している。
Hanebeck氏は「私は30年以上Infineonに在籍しているが、AIブームで立ち上がっているような成長ダイナミクスを経験したことはない。エンジニアとしても、経営者としても、非常に刺激的な時代だ」などと述べていた。
InfineonのAIデータセンター向け電源ソリューション関連事業の売上高は、2025会計年度(2024年10月〜2025年9月)、約2億5000万ユーロから7億ユーロ超とほぼ3倍に成長した。Infineonは同事業の売り上げが、2026会計年度には前年比2倍超となる15億ユーロになるうえ、続く2027会計年度には約25億ユーロにまで拡大することを見込んでいるという。これは2024年会計年度を起点とすると、3年間で売り上げが10倍規模にまで急成長する計算になる。
Hanebeck氏は「今後数年、この分野の需要の勢いは続くだろう。当社が狙える市場は、2020年代の終わりまでに80億〜120億ユーロへと力強く拡大する」と強調していた。
立ち上げを加速「AI向けチップへの急増する需要に最大限対応」
Hanebeck氏は今回、このAI関連需要などへの対応に向けた製造能力の強化にも言及した。特に2023年からドイツ・ドレスデンで建設を進めてきた300mmウエハー新工場(Smart Power Fab)について「チームはスピード感をもって進めていて、建設は予定より前倒しで進行している。工場の開所は7月上旬になる予定だ」と説明。同社広報はEE Times Japanに対し、この開所が2026年7月2日(ドイツ時間)になると明かした。
Hanebeck氏は「これは最適なタイミングだ。われわれのAI向けチップに対する急増する需要に最大限対応できる」と説明。AIデータセンター向けソリューションの需要に対応するため、新工場の立ち上げを加速していく方針だ。同社は2026年2月、AI関連投資を5億ユーロ前倒すことで、2026会計年度の総投資額が27億ユーロになる見込みだと発表している。この投資の大部分が、新工場の立ち上げ加速に充てられる予定だ。
Infineonは2022年11月、同社の単独投資として最大規模の50億ユーロを投じてこの300mmmウエハー新工場を建設する計画を発表した。新工場では、アナログ/ミックスドシグナルおよびパワー半導体を製造する予定で、フル稼働時には年間で50億ユーロ程度の売上高に対応見込んでいる。2023年5月に着工し、当初は2026年秋に稼働予定としていた。
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