田中貴金属が金バンプの転写技術確立、複雑形状の基板に対応:光電融合デバイスなどに活用
田中貴金属工業は、焼結金(Au)接合技術「AuRoFUSE(オーロフューズ)プリフォーム」により、複雑な構造の半導体チップやサブストレートへ金バンプを転写する技術を確立した。次世代の高密度実装や光電融合デバイスなどへの活用を提案していく。
転写後の基板を20MPa、200℃で10秒間加圧加熱して接合
田中貴金属工業は2026年3月、焼結金(Au)接合技術「AuRoFUSE(オーロフューズ)プリフォーム」により、複雑な構造の半導体チップやサブストレートへ金バンプを転写する技術を確立したと発表した。次世代の高密度実装や光電融合デバイスなどへの活用を提案していく。
突起状の電極(バンプ)は半導体チップと基板などを接続するときに用いられる。これまでは、はんだバンプやめっきバンプが一般的に用いられてきた。ところが、最先端の半導体チップではバンプの狭ピッチ化などにより、電極間のショートや接合時にチップが破損するなど、バンプ形成時における課題もでてきた。
田中貴金属が開発したAuRoFUSEプリフォームは、粒径がサブミクロンサイズの金粒子と有機溶剤を混ぜたペースト状の接合材料である。10秒間、200℃/20MPaで加圧加熱した後で、圧縮方向に約10%の収縮率を示すが、水平方向への変化は少ないという。しかも、実用化に十分な接合強度を備えた材料である。
今回確立した金バンプの転写技術はこうだ。転写基板を作製するためのシリコン基板を用意する。このシリコン基板をエッチングして穴をあける。その開口部にAuRoFUSEを埋め込む。AuRoFUSEが乾燥したら、レジスト上の余分な金粒子を取り除く。レジストを剥がすと金バンプが形成された転写基板が完成する。
次に、金バンプを形成したい半導体チップやサブストレートに、作製した転写基板を当てて10MPa、150℃で1分間の加圧加熱を行う。その後、垂直に基板を持ち上げると金バンプが転写される。加熱によって金バンプが収縮するため、容易に引き抜くことができるという。転写後に基板を20MPa、200℃で10秒間加圧加熱すれば接合できる。
開発した技術は、従来のように半導体チップなどに直接バンプを形成する方法ではなく、事前に金バンプが形成された転写基板を用いる方法である。このため、凹凸や貫通孔など複雑な形状の対象物にも適用できる技術だという。
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