オムロン、祖業の電子部品事業を売却へ 事業価値810億円:米投資ファンドに
オムロンが、祖業である電子部品事業を米投資ファンドThe Carlyle Groupに売却する。譲渡する事業の価値は810億円としている。
オムロンは2026年3月30日、同社の祖業である電子部品事業を、米投資ファンドThe Carlyle Group(以下、カーライル)に売却すると発表した。譲渡する事業の価値は810億円としている。
「想定以上に迅速、大規模な投資必要」と判断
オムロンは2025年9月、2026年4月をめどにデバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業:以下、DMB)を分社化する検討を開始したと発表していた。
DMBは1933年の創業期に医療現場向け「レントゲン写真撮影用タイマ」の製造から始まったオムロンの祖業。以来リレー、スイッチ、センサーなどのデバイスを中核に展開してきた。オムロンは「これら高品質なデバイス群は、さまざまな産業の発展に貢献し、自動改札を含む無人駅システムなどの社会システム実用化を支える要素技術として、また、産業機械を中心とした制御機器事業の基盤を形成し、オムロングループの価値創造を支える技術基盤の一翼を担ってきた」などと説明している。
ただ、DMBは電気自動車(EV)向け高容量リレー市場が急速に拡大するなど市場の成長が見込まれる一方で、中国ローカル競合を筆頭に新たなプレイヤーが台頭し競争が激化しているという。こうした外部環境の変化を踏まえ「同事業の自律的な事業運営体制の構築と持続的成長に向けた検討を、外部企業とのパートナーシップも視野に入れて進めてきた」と説明。分社化による事業スピード向上のめどはたったものの、「現在の事業環境下においては、想定以上に迅速かつ大規模な投資が必要であることを再認識した」とし、今回、DMBをカーライルへ譲渡することが最適という結論に至ったという。
オムロンは「これはDMBにとって最適な成長環境を整えると同時に、当社にとっても、2025年11月に公表した『中期ロードマップ SF 2nd Stage』で掲げる事業ポートフォリオの再構築の加速、すなわちインダストリアルオートメーション(IA)を中心としたデバイス事業領域とデータサービス事業領域における13の注力事業の拡大に向けて、投資のさらなる集中を可能とするものだ」などとコメントしている。
取引後、オムロンは5%出資
事業譲渡は、具体的にはまず、オムロン子会社であるオムロンデバイスを承継会社とし、DMBを吸収分割の方法で承継。さらに、オムロングループ内において海外各国/地域におけるグループ会社が保有するDMBに関連する株式および資産等の譲渡を実施する。この吸収分割の効力発生日は2026年7月1日の予定。そして同年10月1日、オムロンデバイスの全株式を、カーライルが設立する特別目的会社「TCG2601」(以下、SPC1)の完全子会社に譲渡する予定だ。なお、承継会社の名称は、吸収分割の効力発生後、「Aratas(読み方:アラタス)」に変更される予定だ。
オムロンは事業譲渡後、SPC1に対し、オムロンの株式保有割合が5%となるよう出資を行う予定。同社は「これによって当社は承継会社およびそのグループ会社との間で販売面での連携機会を適切に維持しつつ、独立会社としての新プロセスへの安定的移行を支援していく」と述べている。
なお同社は2022年、電子部品事業の研究開発体制を刷新し、それまで全国6カ所に点在していた研究開発拠点を岡山事業所(岡山市中区)に集約していた。今回の分社化が、岡山の事業所に与える影響については「現時点で未定」(同社広報)としている。
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