「AIサーバ、自動車の需要機会を逃さず成長」 太陽誘電の新中計:売上高4800億円を目指す(2/2 ページ)
太陽誘電は2026年5月8日、新たな「中期経営計画2030」(2026〜2030年度)を発表した。情報インフラ/産業機器と自動車を注力市場に据え、この2カテゴリーで2030年度の売上比率60%達成を目指す。
過去最高の売上高4800億円、営業利益率15%目指す
中期経営計画2030では「経済価値と社会価値を両輪として企業価値を向上し、電子部品メーカーとして存在価値のあるポジションを目指す」を基本指針とする。「中期経営計画2025での投資で、特に供給力を強化してきた。これを活用しつつ開発力の向上に力を注ぎ、サーバ向けなど技術難易度の高い新商品をタイムリーに開発/供給することで収益力を高めていく」(佐瀬氏)
経済価値においては、2030年度の売上高4800億円、営業利益率15%、ROE(自己資本利益率、Return On Equity)15%、ROIC(投下資本利益率、Return on Invested Capital)10%の達成と、売上高、営業利益率の過去最高更新を目指す。具体的にはコンデンサーで3140億円、インダクターで1130億円、その他で530億円の売上高を目標とする。
引き続き情報インフラ/産業機器と自動車を注力市場に据え、この2カテゴリーで2030年度の売上比率60%達成を目指す。「AIサーバの急拡大は続き、2030年度には積層セラミックコンデンサー(MLCC)需要は32%、パワーインダクター需要は18%成長する見込みだ。データセンターの消費電力急増の課題を解決するため、さまざまな給電方式の採用が進み、スペックの要求水準が高まっていくと予想する」(佐瀬氏)
自動車向けではMLCC需要が5%、ハイブリッドコンデンサー需要が12%の成長を見込む。佐瀬氏は「太陽誘電にとって、自動車の電子化、電動化による設計進化が需要機会になる。性能と信頼性の要求水準が高まる中、高い技術力を生かした商品展開でニーズに対応していく」と述べた。
また、コア技術と要素技術を組み合わせた次世代ソリューションの提案も行うと説明。MLCCの技術を活用した全固体電池や固体酸化物燃料電池/電解セル(SOFC/SOEC)、記録メディアの技術を応用したにおいセンサー、イメージングセンサー用ミリ波デバイスなどの開発を進めているという。
2700億円の設備投資を計画
設備投資は、2026〜2030年の5年間で累計2700億円の投資を計画する。「中期経営計画2025でMLCCを中心に、建屋設備も含む大型投資を実施し、今回の中期経営計画につながる準備を終えてきた。そのため投資は生産能力増強が中心になり、投資額も前回と比べて100億円程度抑制できる見込みだ。なお、MLCC能力は毎年10%程度増強する想定で、旺盛な需要に対応していく」(佐瀬氏)
「太陽誘電の業績は2023年度を底に少しずつ回復しているが、設備投資タイミングのミスマッチや不採算事業により、十分なレベルまでは至っていない。今回の中期経営計画2030では先行投資を十分に活用するとともに、AIサーバや自動車領域の成長を、需要機会を逃さずに実行する。収益性が低下している通信用デバイスはすでに構造改革を実施し、改善を進めている。規律ある資本配分を行うことで、資本コスト低減と企業価値向上を実現したい」(佐瀬氏)
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