r-GeO2単結晶膜を6インチSi基板上に形成、Patentix:対応成膜装置を共同開発
立命館大学発スタートアップのPatentixは、ジェイテクトサーモシステムと共同で6インチ基板に対応できる成膜装置を開発するとともに、Si基板上へルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO2)単結晶膜を形成することに成功した。
導電性バッファ層を採用し、縦型のデバイス構造も容易に
立命館大学発スタートアップのPatentixは2026年5月、ジェイテクトサーモシステムと共同で6インチ基板に対応できる成膜装置を開発するとともに、Si基板上へルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO2)単結晶膜を形成することに成功したと発表した。
r-GeO2は、バンドギャップが4.68eVと大きく、次世代のパワー半導体材料として注目されている。ただ、実用化に向けてはパワー半導体デバイスの生産ラインに適合する大口径のr-GeO2基板を用意する必要がある。しかも、実用レベルの品質を実現するには、r-GeO2単結晶膜を形成することが必須といわれてきた。
Patentixは今回、「チムニー法」と呼ぶ独自開発の成膜手法を採用した6インチ基板対応の成膜装置を、ジェイテクトサーモシステムと共同開発。この成膜装置を用いることで、r-GeO2とは結晶構造や格子定数が大きく異なるSi基板上に、単結晶のr-GeO2膜を形成することが可能となった。電子背後散乱解析(EBSD)法による解析でも、Si基板上に単結晶のr-GeO2膜が形成されていることを確認した。
Si基板上にr-GeO2単結晶膜を形成するため今回は、導電性バッファ層を採用した。これによって、縦型デバイス構造も容易に実現できるという。今後は、r-GeO2単結晶膜の品質を高めつつ、「GeO2 on Si基板」を用いた完全縦型のショットキーバリアダイオード(SBD)や電界効果トランジスタ(FET)などを試作していく。
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