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三菱電機、SiC MOSFETのAC特性変動「世界最小」級と実証「望んだ性能が続くか」が重要な競争軸に(3/3 ページ)

SiC MOSFETの採用拡大が本格化する中、実際の使用環境に近いAC動作を繰り返すことでゲートしきい値電圧(Vth)が変動し、設計時に想定した損失や熱特性が変化する課題が注目されている。こうした特性変動を評価するDGS試験において、三菱電機は同社SiC MOSFETの特性変動量が「世界最小クラス」(同社)であることを実証したという。

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車載に加え、データセンター用途でも重要

 菅原氏によると、こうした特性変動は、最終製品の設計や寿命にも影響を与える可能性があるという。「顧客がSiC MOSFETを採用したモジュールやインバーターなどを設計する際、熱設計や損失設計を行っている。ところが使用中にしきい値電圧が変動すると、その前提条件そのものが変わってしまう」(同氏)

 例えば、当初想定していたより発熱量が増えたり、スイッチング時のオン損失とオフ損失のバランスが変化したりする可能性があるという。そうした変化が積み重なれば、機器全体の寿命や信頼性にも影響を与えかねない。菅原氏は「想定よりも熱くなりやすくなったり、設計時の想定から外れたりすることで、結果として製品寿命に影響する可能性がある。なるべく長期間、設計時の特性を維持できることが重要になる」と強調する。

 こうした観点から、今回の成果は特に長寿命用途で有効になるとされる。具体的にはEVや鉄道、産業機器などに加え、近年急速に需要が拡大しているデータセンターのような常時稼働する用途などだ。

中国勢とは大きな差、信頼性が重要な競争軸に

 三菱電機は、今後は性能だけでなくこうした長期信頼性も重要な差別化要因になるとの見方を示した。

 SiCデバイスではこれまで、低オン抵抗やスイッチング性能を主な競争軸として、車載市場の拡大を背景に各社が低損失化や大電流化を進めてきた。市場が成熟していき、実際の運用実績が蓄積されるにつれて、初期性能だけでは見えない、課題も顕在化してくると考えられ、その要因の1つとして、こうした特性変動が挙げられるという。

 こうした考え方は、中国メーカーとの競争にもつながる。中国勢は、単発の性能では先行メーカーにはまだ及ばないものの、価格競争力を武器にSiC市場で存在感を高めていて、菅原氏も「中国メーカーの製品はかなり安価で、われわれも脅威だと考えている」と言及。そのうえで、故障率や長期信頼性、特性変動といった領域では「レベルは着実に上がっているものの、従来メーカーの方がかなり先行している」と語った。

 実際、中国メーカーについてもDC試験などの評価結果を見ると「変動量はまだ大きい傾向が見られる」という。ただし「レベルは着実に上がってきている」とも評価。その上で同氏は「少なくとも3年以上、場合によっては5年程度の差はあるのではないか」との見方を示した。

 三菱電機は今後もプレーナー型とトレンチ型の両方を展開する方針だ。菅原氏は「トレンチ型が常に優れているわけではなく、一長一短があると考えている」と説明。特に、高耐圧領域ではプレーナー型の優位性は依然として大きい。ゲート容量の小ささや低スイッチング損失といった特長もあり、用途によって最適解は異なるという。

 今後もプレーナー型とトレンチ型、それぞれの強みを生かしながら開発を進めつつ、今後同様に高い信頼性を発揮していくことで、搭載機器の高性能化と長寿命化の両立を実現していくとしている。

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