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AIが食い尽くすメモリ供給 企業ITを揺らす価格高騰インフラ投資の「副作用」(2/2 ページ)

AIインフラの急速な構築により、高性能メモリの供給が逼迫(ひっぱく)する事態が続いている。特にメモリ調達担当者は、調達戦略を全面的に見直す必要があるだろう。

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短期的な大幅増産は難しい

 メモリメーカーは大規模投資を行っているが、供給不足に対する緊急措置は講じられていない。TrendForceのアナリストによると、大手NANDフラッシュメーカーは、2026年に新たな生産能力を追加する予定はなく、その代わりに既存のリソースを、最も収益性の高いサーバストレージ製品向けに活用しているという。

 現在、米国内の製造拡大が広く注目を集めているが、これは長期的な変化を目指すためのものであって、直ちに供給を増加させるものではない。Micronは最近、米国バージニア州マナサスにある工場「Fab 6」において1α(アルファ)世代のDRAMの製造を開始したところだが、連邦議員たちはこれを、「米国がサプライチェーンセキュリティにおける勝利を獲得した」と称賛している。

 Micronは「バージニア州における20億米ドル規模の生産拡大投資により、最終的に米国内のDDR4メモリ生産量を4倍に増加させることができる」と述べている。しかし、業界アナリストはこれについて「世界全体の生産能力を単に移動させているだけにすぎない」と指摘する。

 TrendForceの調査研究によると、Micronは、防衛や自動車、その他の長期的利用が必要な業界に対応するために、旧型メモリの生産能力を台湾からバージニア州へ移動させているということが明らかになった。Micronの台湾工場はこのような変化により、AIに必要な最新のDDR5と広帯域メモリ(HBM)の生産のみに注力することになる。

 その結果、標準的なLPDDR4/DDR4メモリの世界総供給量はほぼ横ばい状態となるため、供給不足は変わらず継続する可能性が高い。

 Smith氏は「このような業界開発に対応するには、調達担当者は期待値をコントロールしなければならない。サプライヤーが現在進めている投資はプラスの要素ではあるが、短期的には必ずしも広範にわたる緩和措置となることを意味するわけではない」と指摘する。

ワークロードの優先順位をより明確に

 新しいハードウェアは依然として入手困難な上にコストも高いことから、ITサプライチェーンリーダーはアップグレードの時期について再検討したり、装置を入手するための他の方法がないかを模索する必要がある。Gartnerは、重要度の低い調達を延期したり、セカンダリーマーケット(中古市場)を利用して、メモリのアップグレードが可能なデバイスをリースすることなどを提案する。Smith氏は「セカンダリーマーケットの旧型ハードウェアは、AIブームをけん引する性能需要には対応できないため、ワークロードを厳格に優先順位付けする必要がある」と強調した。

 「もちろん根本的に、ハードウェアのセカンダリーマーケットへの依存は、現在のAIブームをけん引する性能需要に逆行する可能性がある。しかし大半の企業にとって、それは事の全容ではない」(Smith氏)。同氏は、標準的なエンドユーザー向けコンピューティングや中核的な運用タスクには、必ずしもAI対応のハイエンドなインフラスが必須ではないことを指摘した。

 「旧式のサーバ、特にメモリの増設が可能なものは、優先度の低いワークロードや、システムの稼働を維持するためのワークロードを引き続きサポートできる。これは矛盾というよりは、真にそれを必要とするワークロードのために、高品質なインフラを確保するという優先順位付けの戦略になる」(Smith氏)

 結局のところ、企業の購買担当者は、現在のメモリ市場に対応すべく、柔軟かつ慎重な姿勢を保つ必要がある。供給問題は2027年まで続く可能性があり、メーカーは供給不足の恩恵を受けているため、経営幹部はこの危機を乗り切るために、綿密な需要予測、明確なワークロードの優先順位付け、そして強力な交渉に注力すべきではないだろうか。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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