熱放射を自在に操る新たな光デバイス提案、大阪公立大ら:熱の放射と吸収の相反性を破る
大阪公立大学を中心とする国際共同研究グループは、熱放射の向きを自在に制御できる新たな光デバイスを理論的に提案した。今後、提案したデバイスを試作し動作実証などを行っていく予定。
InAsとGSTを組み合わせたハイブリッドメタグレーティングを設計
大阪公立大学と京都大学、中国・安徽工程大学、シンガポール工科デザイン大学および、シンガポール科学技術研究所らによる共同研究グループは2026年6月、熱放射の向きを自在に制御できる新たな光デバイスを理論的に提案したと発表した。今後、提案したデバイスを試作し動作実証などを行っていく予定だ。同グループは、高効率な次世代太陽電池や、高性能な赤外線センサーなどへの応用が期待できるとしている。
熱放射は、物体がその温度に応じて放出する赤外線だ。通常は、ある波長や方向から熱を吸収する表面は、同じ波長や方向に熱を放射する。これに対し、非相反な性質を示す熱放射デバイスも提案されてきた。ただ、それらのほとんどは光を大きな角度から入射させる必要があるなど、実用面での制約があった。
研究グループは今回、光がほぼ真上から入射するような条件でも、強い非相反性を示す熱フォトニクスデバイスを理論的に設計し提案した。この光デバイスは相変化材料「Ge2Sb2Te5(GST)」のグレーティング(回折格子)、磁気光学半導体「InAs」からなる導波路および、銀(Ag)反射膜で構成される。
実験では、グレーティングによって入射した赤外線を導波路内の共鳴光モードへ効率よく結合させた。これに磁場を印加することで、光が進む方向による対称性(相反性)を破り、方向によって異なる光吸収を実現した。
シミュレーションの結果、波長約13.24μm、入射角3度、磁場1テスラの条件で、約0.90という大きな非相反係数が得られた。この値は、ある方向から入射した赤外線は強く吸収されるが、反対方向からの赤外線はほとんど吸収されないことを示すものだという。さらに、GST層の相変化を利用すれば、非相反応答をオン/オフに切り替えできるだけでなく、その状態を電源なしで保持できる。つまり、不揮発の光スイッチとして機能することも明らかにした。
今回の研究成果は、大阪公立大学大学院研究科のYeMing Qing氏(JSPS外国人特別研究員/南京郵電大学准教授)、村井俊介講師、岡本晃一教授および、京都大学、安徽工程大学、シンガポール工科デザイン大学、シンガポール科学技術研究所ら、国際共同研究グループによるものである。
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