GoogleとMarvellの提携に見る「AIアーキテクチャ」の変化:カスタムシリコンの拡充(2/2 ページ)
GoogleがMarvell Technologyと、カスタムシリコン関連の契約を締結した。そこから読み取れるのは、AIアーキテクチャの変化だ。
Googleの狙いは
カスタムシリコンの利用拡大は、別の疑問を提起する。Googleは既に半導体業界で最も高度な社内設計チームの1つを擁しているのに、なぜMarvellやBroadcomを必要とするのだろうか。
Burke氏は、アーキテクチャの設計と、そのアーキテクチャを、製造可能なシステムにすることとの間には明確な違いがあると指摘する。
同氏は「Googleは、プロセッサコアやインターコネクトを含む演算アーキテクチャを専門としている。一方、MarvellやBroadcomのような半導体パートナー企業は、SerDesや物理インターコネクト、先進パッケージング、広帯域メモリ(HBM)統合、ファウンドリーでの製造の実施といった分野で専門知識を提供するが、これらの技術は、複数の大口顧客との幅広い実績から恩恵を受けている」と説明している。
つまり、「Googleのカスタムチップは、“Googleが設計し、半導体パートナー企業がエンジニアリングを担う”形になる得る。Googleは機能とアーキテクチャを定義し、半導体パートナーは物理的なサブシステムの提供や、システムのパッケージング、ファウンドリーとの関係管理といった面で支援する」(Burke氏)
Marvellの魅力は、AIインフラにおいてますます重要になっているこれらの分野を中心に、異例なほど幅広い技術を構築している点にある。同社のポートフォリオは、カスタムコンピューティング、スイッチング、SerDes、光接続、メモリコントローラー、CXL、ストレージ、先進パッケージングなど多岐にわたる。
Murphy氏は決算説明会で、その幅広さを繰り返し強調した。「例えばスケールアップネットワーキングにおいて、スイッチや銅線インターコネクト、ニアパッケージ光インターコネクト、最終的にはコパッケージ光インターコネクトを網羅するエンドツーエンドのロードマップを提供できるパートナーを求めるハイパースケーラーからの声が高まっている」と主張した。
「現時点でのポイントソリューションでは、それを成し遂げられないと考えている」とMurphy氏は述べている。
Googleは新たな交渉力を獲得
Marvellとの提携によって、Googleは新たな交渉力を獲得できる。
Burke氏によると、Broadcomは顧客との関係において依然として相当な価格決定力を保持しているという。Marvellとのプログラムは、Broadcomとの直接的なトレードオフよりも、補完的な意味合いが大きいように見えるが、信頼できる第2の設計パートナーを得ることで、Googleは将来のプログラム交渉における交渉力を強化し、独自チップの経済性をより多く維持できる可能性がある。
一方、Marvellは膨大な潜在的収益を得ることになるが、両社の関係が最大規模に近づくと、カスタムシリコン事業のGoogleへの依存度が高まる可能性がある。
この取り決めは、ハイパースケーラーがより高度な半導体顧客となる中で、交渉力の広範な変化を示している。ハイパースケーラーは、単一のカスタムチップサプライヤーを選ぶのではなく、アーキテクチャとソフトウェアを自社の管理下に置きながら、複数のパートナーにプログラムを分散させる傾向が強まっている。
それは必ずしもNVIDIAの敗北を意味するわけではない。
カスタムアクセラレータがNVIDIAのGPUから経済シェアを大きく奪うのか、それとも両市場がともに拡大し続けるのかという質問に対し、Li氏は「全体的な需要が依然として重要な変数である」と答えた。
「どちらも成長するだろう。どちらも飛躍的に成長すると予想される」と同氏は述べた。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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