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600℃で動作する新構造のSiC素子、京都大極限環境向け集積回路の実現へ

京都大学は、炭化ケイ素(SiC)を用いて新構造のトランジスタ素子を開発し、600℃という高温環境での動作を実証した。ジェットエンジン内部や地熱井の底など、極限の高温環境でも動作するセンサーや制御回路に適応できるとみている。

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ボトムゲート構造とダブルウェル構造を組み合わせた新構造

 京都大学大学院工学研究科の金子光顕准教授、柴田峻弥修士課程学生(当時)、木本恒暢教授らによる研究グループは2026年8月、炭化ケイ素(SiC)を用いて新構造のトランジスタ素子を開発し、600℃という高温環境での動作を実証したと発表した。ジェットエンジン内部や地熱井の底など、極限の高温環境で動作するセンサーや制御回路に適応できるとみている。


作製したSiC接合型トランジスタのイメージ図と、室温〜600℃における電気特性[クリックで拡大] 出所:京都大学

 SiCは、500℃以上の極めて高い温度環境においても、半導体として機能する物性を持つ。ところが、イオン注入で作製したSiC接合型トランジスタの場合、「しきい値電圧を正確に設計できない」「高温になると基板を通してリーク電流が流れ、回路が正常に動作しない」といった課題があった。

 そこで研究グループは、これらの課題を解決できる新たな構造を開発した。その1つがトランジスタのゲート電極をチャネル下に配置する「ボトムゲート構造」だ。これによって、しきい値電圧の設計精度を大幅に向上させた。例えば、400℃でしきい値電圧の設計値と実測値の誤差を0.1V以下に抑えた。

 もう1つは、pn接合で素子を電気的に分離する「ダブルウェル構造」だ。従来はSiCの半絶縁性基板を絶縁体として用いてきたが、高温になると絶縁性を失うためリーク電流が流れていた。今回はpn接合を使って分離する。これにより高温時でも絶縁性を保持でき、リーク電流を大幅に低減した。

 なお、試作したSiC接合型トランジスタは、動作原理の実証を目的としたもので「ノーマリオフ動作」には対応していない。今後、新構造によるノーマリオフ動作のトランジスタを設計し、n型とp型を組み合わせた相補型JFET集積回路の実現を目指すという。

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