レゾナックが300mm SiC単結晶基板を開発:競争活発化、中国勢ら存在感
レゾナックは2026年9月15日、直径300mmの炭化ケイ素(SiC)単結晶の成長と基板加工に成功したと発表した。SiC基板では6インチから8インチへの移行が本格化する中、既に中国や米国のメーカーらがその先の300mm品について、相次いで開発成果を示していた。
レゾナックは2026年9月15日、直径300mm(12インチ)の炭化ケイ素(SiC)単結晶の成長と基板加工に成功したと発表した。同社は「300mmは現在開発が進むSiC基板として世界最大級の口径であり、SiC基板およびSiCエピウエハーの大口径化と高品質化に向けた重要な技術的マイルストーンとなる」としている。
SiC基板では6インチ(150mm)から8インチ(200mm)への移行が本格化する中、既に中国や米国のメーカーらがその先の300mm品について、相次いで開発成果を示していた。
「SiC単結晶基板/エピウエハーの技術革新」追求
SiCはパワー半導体において、従来のシリコンウエハーを用いた場合と比べて電力変換時の損失や発熱が少なく、省エネルギー化に寄与する材料として注目されている。主な用途は電気自動車(EV)や再生可能エネルギー分野で、データセンター向け電源など高効率化が求められる領域でも活用が広がりつつある。レゾナックは現在、150mmのSiCエピウエハーを量産しているほか、200mmのSiCエピウエハーの出荷も開始している。
レゾナックは2022年から、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業でSiCウエハーの大口径化などに取り組んできた。今回、これまで培ってきたSiC単結晶の成長技術と基板加工技術を活用し、300mm SiC単結晶の成長と基板加工に成功したとしている。
同社は「今後も『ベスト・イン・クラス』をモットーに、SiC単結晶基板およびエピウエハーの技術革新を追求し、高性能/高信頼性のSiC材料の提供を通じて、パワーエレクトロニクス市場の進化と持続可能な社会の実現に貢献していく」と述べている。
中国が開発推進、米国競合も続く
SiCの300mm化を巡っては、中国のSiC基板大手SICCが2024年11月、「業界初」をうたうN型SiC基板を発表。その後も中国では複数のメーカーが単結晶や基板の開発に成功しているとされる。2026年6月にドイツで開催された「PCIM Europe 2026」でも、中国SuperSiCが4H-SiCのN型300mm基板などを展示していた。
また米国でもCoherentが2025年12月に300mm SiCプラットフォームの開発を発表し、2026年8月には300mmの高熱伝導SiC基板について、AI半導体メーカー向けのサンプル出荷を開始。Wolfspeedも同年1月、300mm SiC単結晶ウエハーの製造に成功したと発表している。
SiC基板には、導電性を持つN型や電気抵抗が高い半絶縁型などがあり、用途によって使い分けられる。N型は主にSiCパワー半導体の基板として使われる一方、半絶縁型はRFデバイスのほか、ARスマートグラス向けなどへの応用も進められている。
また、単結晶SiC材料は高い熱伝導率を持つことから、AIサーバや高性能コンピューティング(HPC)向け半導体の放熱基板、先端パッケージ基板などへの応用も注目されているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
車載は「新たな成長段階に」 SiCパワー半導体市場、5年後110億ドル規模へ
フランスの市場調査会社Yole Group(以下、Yole)の最新予測によると、炭化ケイ素(SiC)パワーデバイス市場は2025〜2031年まで年平均成長率(CAGR)20%で成長し、2031年には110億米ドルに達する見込みだという。800Vアーキテクチャ電気自動車(EV)の普及拡大などが成長をけん引する。
Wolfspeedが300mm単結晶SiCウエハー製造に成功
Wolfspeedが、単結晶300mm 炭化ケイ素(SiC)ウエハーの生産に成功したと発表した。同社は「当社はSiCの300mm化によって世界で最も要求の厳しい半導体アプリケーションの一部で新たな性能の上限と製造におけるスケーラビリティを実現する」と述べている。
レゾナック26年度上期は156.5%増益 後工程材料が大幅成長
レゾナックは、2026年12月期中間期(2026年1〜6月)の決算を発表した。売上高は6768億5200万円で前年同期比5.4%増、営業利益(国際会計基準[IFRS]ではコア営業利益)は887億5300万円で同156.5%増、純利益は484億5100万円で同146.5%増だった。けん引するのが半導体・電子材料で、特に後工程材料はAI需要などで前年同期比46%増収を果たした。
Si廃棄物とCO2からSiCパワー半導体材料を作製へ
レゾナックと東北大学大学院工学研究科、シリコン廃棄物(シリコンスラッジ)と二酸化炭素(CO2)を用いて、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体材料を作製するための研究を共同で行う。
レゾナック、Soitecと8インチSiC貼り合わせ基板を共同開発へ
レゾナックは2024年9月24日、半導体基板材料を製造するフランスのSoitecと、パワー半導体に使用される8インチSiC(炭化ケイ素)エピタキシャルウエハーの材料となるSiC貼り合わせ基板に関する共同開発契約を締結したと発表した。
Infineon、Wolfspeedとの150mm SiCウエハー供給契約を拡大/延長
Infineon Technologiesは、Wolfspeedとの150mm SiCウエハーに関する長期供給契約を拡大/延長した。Infineonは「サプライヤー基盤を継続的に多様化し、高品質のSiCウエハーへのアクセスを確保していく」と述べている。
