住友金属鉱山、「世界初」300mm貼り合わせSiC基板開発:サンプル出荷を開始
住友金属鉱山が、300mmの貼り合わせ炭化ケイ素(SiC)基板の開発に成功し、半導体メーカーへのサンプル出荷を行った。同社によれば、貼り合わせSiC基板として300mmを実現したのは世界初という。
多結晶SiC支持基板に、高品質な単結晶SiC層を薄く貼り合わせ
住友金属鉱山は2026年9月18日、300mm(12インチ)の貼り合わせ炭化ケイ素(SiC)基板「SiCkrest(サイクレスト)」の開発に成功し、半導体メーカーへのサンプル出荷を行ったと発表した。同社によれば、貼り合わせSiC基板として300mmを実現したのは世界初という。
SiCkrestは、低抵抗の多結晶SiC支持基板上に、高品質な単結晶SiC層を薄く貼り合わせた基板だ。独自の接合技術を応用してウエハーを2層化することで、単結晶SiCの特性を維持しながら基板全体の低抵抗化と通電劣化を抑制。性能と低コストの両立を実現するとしている。
SiCkrestは6インチ品については既に販売を開始していて、パワー半導体での採用実績がある。8インチ品についても2025年末までに月産6000枚の量産ラインを構築済みで、2026年度中に量産品の納入を開始する予定だ。
具体的な採用企業として公表されているのが新電元工業だ。住友金属鉱山は2025年12月、新電元工業が開発したSiC MOSFETにSiCkrestが採用されたと発表。SiCkrestの低抵抗特性と新電元工業独自のデバイス設計を組み合わせることで、高温時のオン抵抗上昇に伴う電力損失を低減したとしている。
単結晶SiC基板1枚から50枚以上、SiCkrestの特徴
住友金属鉱山は2026年1月の事業説明会などで、SiCkrestの特徴について説明している。SiCkrestは、単結晶SiC基板から薄い単結晶層を剥離し、多結晶SiC支持基板に貼り合わせる形で製造する。剥離後の単結晶SiC基板は繰り返し利用でき、単結晶SiC基板1枚から50枚以上の貼り合わせSiC基板を製造できるという。
また、一般的な単結晶SiC基板の抵抗率が20mΩ・cm程度であるのに対し、SiCkrestでは10mΩ・cm未満に低減できるという。これによって、チップサイズの小型化に加え、劣化抑制による信頼性向上やスイッチング応答速度の向上を実現するとしている。
SiCの300mm化に向け、各社の取り組みが進む
パワー半導体市場では、電力変換効率の向上や装置の小型化に対する要求を背景に、SiCパワー半導体の採用が拡大している。そしてSiC基板の大口径化は、製造コストの低減や生産効率の向上につながるとして注目されている。現在は8インチ基板への移行が本格化している段階だが、300mm SiC基板の開発も加速。直近でもレゾナックが2026年9月15日、300mm SiC単結晶の成長と基板加工に成功したと発表している。
住友金属鉱山の代表取締役社長を務める松本伸弘氏は2026年5月の経営戦略説明会でSiCkrest事業について紹介し、300mm品についても顧客からの要望を受け、実用化に向けた開発を進めていると説明していた。
今回開発した300mm SiCkrestは、2026年9月27日〜10月2日にパシフィコ横浜ノースで開催されるSiC関連の国際会議「International Conference on Silicon Carbide and Related Materials 2026(ICSCRM 2026)」の同社ブースで展示する予定だ。
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