商社×メーカーの2つの顔 TED新社長が語る半導体市場と成長戦略:東京エレクトロン デバイス 社長 宮本隆義氏(3/3 ページ)
東京エレクトロン デバイスは半導体/電子デバイスやIT製品を扱う技術商社でありながら、自社製品の開発や設計/量産受託などのメーカー機能も有する。2026年4月に社長に就任した宮本隆義氏に、足元の半導体市況や調達環境、エッジAIの顧客ニーズ、メーカー機能の成長戦略について聞いた。
エッジAIの焦点は「導入」から「差別化」へ
――TEDでは、エッジAIの導入支援も行っています。どのような業界や用途で活用が進んでいますか。課題はどのようなところにありますか。
宮本氏 民生機器や自動車、ロボットなどの最終製品への搭載だけではなく、製造現場でもエッジAIを活用する動きが広がっている。製造業では、画像認識や異常検知、予防保全などはかなり実装が進んできている。
顧客からの相談は「AIを使ってとにかく何かやりたい」という段階から、少し先に進み始めたところだと思う。課題はさまざまで、ハードウェアだけ欲しいというケースから、クラウドサービスや開発まで必要なケースまである。いずれにしても、顧客にとって最も重要なのはAIを搭載することではなく「AIを使ってどう差別化につなげるか」だと思う。各社がAIを同じように導入したときに何を自社のアドバンテージにするかが重要だ。
メーカー機能を拡大、自社製品を成長の柱に
――TEDは商社でありながら、検査装置などを手掛けるメーカーとしての機能も持っていることが特徴です。このプライベートブランド(PB)事業を今後どのように成長させていきますか。
宮本氏 PB事業には大きく分けて2つのビジネスがある。1つは自社で製品を開発して製造/販売し、サポートまで提供するDFS(Digital Factory Solution)事業。もう1つは顧客に製品を設計から量産まで提供するDMS(Design and Manufacturing Service)事業だ。どちらも力を入れていくが、自社製品についてはさらに事業を拡大し、市場に広く認知されるようにしたい。企業価値を高めるには利益を増やす必要があり、利益面でも自社製品を伸ばす意義は大きい。自社製品を大きくするという最終的なゴールはぶらせない。
商社とメーカーという2つの機能を持つことが自社製品の開発にも生きている。TEDでは以前から「全員マーケティング」の考え方を大切にしている。営業職でも技術職でも、顧客の課題をキャッチする力を磨くという考え方だ。ビジネスは顧客が抱える課題を認識することから始まるが、顧客が現在口にしている課題を解決するだけでなく、その先で必要になるものも考える必要がある。
半導体の世界では前工程の微細化が限界に近づく中で貼り合わせや多層化などの新しい技術も生まれ、検査対象や内容の幅が広がっている。そうした新しいニーズをチャンスと捉え、アクセスできる市場を広げていきたい。
「新しいものの宝庫」を強みに
――社長就任から約半年がたちました。現在のTEDの強みと課題をどのように捉えていますか。
宮本氏 強みの1つは、取り扱う製品の幅広さだ。多くのサプライヤーと付き合いがあり、「新しいものの宝庫」だと思う。社員の約40%が技術者であることも強みで、技術力については常に意識している。課題は、まだ会社の大きな柱にはなりきっていないPB事業を「太い幹」にしていくことだ。
――今後、顧客やサプライヤーにどのような価値を提供していきたいと考えていますか。
宮本氏 製品やサービスは変化していくが、その中で一番大切にしなければならないのは、ステークホルダーからパフォーマンスを信用してもらうことだ。信用は技術力だけに対するものではない。技術サポート、製品の変更や販売終了への対応も含めた「全ての行為」に対するものだと思う。
信用は積み重ねていかなければならない。「当たり前のことを当たり前にちゃんとやる」ことを通じて、顧客の成果につながる仕事をする会社にしたい。
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