走行車両から10.3Gbps 京大が60GHz帯伝送を実証:位置誤差は平均約3m
京都大学の研究グループは、60GHz帯を利用し、超広帯域移動通信とセンシングを融合する広帯域移動伝送試験装置を開発した。実際に走行する車両を用いた実証実験では、最大10.3Gビット/秒の高速無線伝送を確認。通信電波を利用し、平均約3mの誤差で車両位置を推定することにも成功した。
60GHz帯で高速無線通信とセンシングを融合
京都大学情報学研究科の原田博司教授、香田優介准教授、遠藤浩明博士課程学生らによる研究グループは2026年10月、60GHz帯を利用して超広帯域移動通信とセンシングの融合を可能にする広帯域移動伝送試験装置を開発したと発表した。実際に走行する車両を用いた実証実験では、最大10.3Gビット/秒という高速無線伝送を確認するとともに、位置センシングにも成功した。
自動運転分野では安全性をさらに高めるため、5G技術を用いた車両向け通信システム「V2X」の活用が検討されている。車両同士や車両と路側インフラとの間で、車両走行に関わるさまざまな情報を共有することで、交通事故などを減らす狙いがある。ただ、自動運転車両から送られるデータ量は今後も増え続けるとみられる。このため、より高速で大容量通信を可能にする技術が求められている。
そこで注目されているのが、60GHz帯のミリ波を利用した通信とセンシングの融合技術(ISAC)である。60GHz帯はチャネル当たり2GHzという広い帯域を利用できる。このため、自動運転車両から大容量のデータを高速に収集でき、高精度な車両位置センシングも同時に行える可能性があるという。ただ、実際の車両移動環境における通信性能などは十分に検証されていなかった。
研究グループは今回、5G物理伝送信号フォーマットを基盤に、ソフトウェア無線技術を利用し60GHz帯で通信できる広帯域移動伝送試験装置を開発した。開発した装置は、OFDMA方式に準拠した物理層信号を送信できる。OFDMA方式におけるサブキャリア間隔を最大960kHzに拡張するとともに、信号帯域幅を1840MHzまで拡大することで、最大10.3Gビット/秒の高速伝送を可能にした。
さらに、移動環境下で送信された信号に対し、正確に同期/復調する信号処理機能を搭載していて、60GHz帯でも安定して信号を受信できる。また、60GHz帯の通信用電波を利用したセンシング用信号処理機能も備えた。これにより、通信信号の復調時に推定されるドップラー周波数から車両速度を算出し、車両位置を推定できるという。
交差点を含む実道路環境で車両を走行させながら、開発した伝送装置を用いて実証試験を行った。交差点から延びる約330mの直線道路を時速18kmで走行させ、車両側から無線伝送を行った。64QAMに基づくMCS17を用いた場合、交差点から150m離れた地点でも10Gビット/秒を超える伝送速度を確認した。
受信した通信信号から推定したドップラー周波数を用い、車両速度や位置を推定した。車両速度の誤差は最大5km/h、車両位置の誤差は平均約3mだった。
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