海外医療技術トレンド(122):
ビッグテック企業は米国のデジタルヘルスエコシステムを変えるか
本連載第120回で第2次トランプ政権下の公的医療保険改革を取り上げたが、それ以降もデジタルヘルス活用の取り組みがさらに加速している。(2025/8/14)
医療技術ニュース:
酒さの慢性化に皮膚常在菌叢の乱れが関与している可能性を明らかに
日本メナード化粧品らは、炎症性皮膚疾患である酒さの慢性化に皮膚常在菌叢の乱れが関与している可能性を明らかにした。酒さ患者の皮膚では、健常な人と比べてレンサ球菌の割合が高いことが確認された。(2025/8/14)
医療技術ニュース:
痛み刺激による発声音が、他者にも痛みを伝える現象を解明
東京理科大学は、マウスを用いた実験で、他者の痛みが伝わる一因が、痛み刺激による発声音にあることを明らかにした。感情的な痛み伝達のメカニズム解明に向けた新たな知見となる。(2025/8/13)
医療技術ニュース:
リング状の培養筋組織により、しなやかな運動が可能な多関節ロボットを開発
東京大学は、リング状の培養筋組織を用いて、連続的で力強い収縮や関節ごとのしなやかな運動が可能な多関節構造のバイオハイブリッドロボットを開発した。培養方法の改良とC型アンカーの導入により、大きく持続的に収縮できる。(2025/8/6)
医療技術ニュース:
女性がカロリーを多く消費するメカニズムを解明
東京科学大学は、マウスを用いた実験で、女性の体がカロリーを多く消費する理由を解明した。褐色脂肪組織のミトコンドリア機能の性差が、高いカロリー消費に関与していることが分かった。(2025/8/5)
医療技術ニュース:
体外の培養子宮で着床と発生に成功
大阪大学は、体外で培養したマウス子宮上で体内と同程度に忠実な着床と発生を再現することに成功した。また、体外子宮上で着床不全の病態を模倣し、その改善法も明らかにした。(2025/7/30)
医療技術ニュース:
人工甘味料が大腸炎を悪化させるメカニズムを解明
慶應義塾大学は、人工甘味料として広く使用される糖アルコールのソルビトール摂取により、腸内細菌叢およびその代謝物を介した腸管の炎症性免疫応答性が活性化し、大腸炎が悪化することを明らかにした。(2025/7/29)
医療技術ニュース:
カカオの有効成分がスポーツ時の判断力を向上させる
早稲田大学らは、カカオの有効成分ココアフラバノールを高用量含んだサプリメントを摂取することで、認知疲労下の運動中の判断力が向上することを明らかにした。(2025/7/23)
医療技術ニュース:
遠隔触診技術の確立に向け、産学共同研究を開始
NTTと新潟大学は、遠隔触診技術の確立に向けて共同研究を開始した。触診での具体的な所作をデジタル化する要素を明らかにし、患部の柔らかさや感触を再現する技術を確立する。(2025/7/22)
医療技術ニュース:
ナノイー技術が寝具表面から1cmにあるダニアレルゲンを抑制
パナソニックは、ナノイー技術が、寝具表面から1cmの深さに存在するダニアレルゲンを抑制することを実証した。ダニアレルゲンによるかゆみや炎症に関与する免疫反応も抑えることを細胞レベルで確認した。(2025/7/15)
医療技術ニュース:
生体に安全な材料を用いて、機能性成分を内包するマイクロカプセルを開発
産業技術総合研究所は、生体に安全な材料だけを用いて、大きさがそろった20μm以下の微小液滴「マイクロカプセル」を開発した。細胞や核酸などを内包でき、医薬品等への応用が期待される。(2025/7/14)
海外医療技術トレンド(121):
デジタルヘルスを駆使して高齢者介護改革を目指すオーストラリア
本連載第31回で、オーストラリア政府の「2018〜2022年オーストラリア国家デジタルヘルス戦略」を取り上げたが、同国のデジタル技術は医療から介護分野へと拡大している。(2025/7/11)
医療技術ニュース:
がんの栄養経路を断つ新たな精密医療を開発
大阪大学は、腫瘍組織の要となるニコチン酸アミドという代謝経路を標的とし、腫瘍の増殖を抑制する新たな分子標的薬を開発した。腫瘍微小環境を制御する新たな治療戦略となる。(2025/7/9)
医療技術ニュース:
より早期のアルツハイマー病診断に応用可能な血液マーカー
慶應義塾大学は、血漿マーカーのアミロイドβ42/40比が、従来のアミロイドPET検査よりも早期にアルツハイマー病の中心的病理である脳内アミロイドβ沈着を高精度に判別できることを示した。(2025/7/7)
医療技術ニュース:
装着型運動アシストロボットのAI駆動型制御手法を開発
理化学研究所は、装着者の身体運動情報と一人称視点の映像から、装着型運動アシストロボットの制御コマンドを生成するAI駆動型制御手法を開発し、ヒトの運動負荷を適切に軽減できることを実証した。(2025/7/1)
医療技術ニュース:
心臓血管系疾患の治療薬が骨を伸ばすことを発見
京都大学らは、心臓血管系疾患の治療薬として使用されているホスホジエステラーゼ3阻害薬が、骨の伸長を促進することを発見した。骨系統疾患の新規治療薬の創出につながることが期待される。(2025/6/30)
医療技術ニュース:
吸入麻酔薬の作用メカニズムの一端を解明
東京大学は、カルシウム放出チャネルの1型リアノジン受容体が、吸入麻酔薬の標的分子として全身麻酔の導入に関与していることを明らかにした。吸入麻酔薬が生体内でどのように作用し、全身麻酔を誘導するかを解明する重要な知見として期待される。(2025/6/24)
医療技術ニュース:
光学的血流計測を用いて出血性ショックの微小循環不全を可視化する技術を実証
明治大学は、出血性ショックの犬モデルを用いて、拡散相関分光法による微小循環不全のモニタリング技術を実証した。微小循環不全を早期検出することで、救命率の向上が期待される。(2025/6/23)
医療技術ニュース:
薬剤を2000倍に濃縮して内包できる無機ナノ粒子カプセル作製法を確立
北海道大学らは、無機ナノ粒子を構成要素としたナノサイズの中空カプセル構造体作製技術を開発した。薬剤を2000倍以上に濃縮して効率的に内包できるため、次世代の薬物送達キャリアとして期待される。(2025/6/17)
医療技術ニュース:
血液から直接神経細胞を生み出す技術を開発
慶應義塾大学と藤田医科大学は、末梢血細胞からiPS細胞への初期化を介さずに神経細胞を産生する技術を開発した。誘導前の細胞が保有していた情報の一部を受け継ぐ神経細胞が、遺伝子導入から約20日で産生する。(2025/6/16)
海外医療技術トレンド(120):
再起動したトランプ政権の公的医療保険改革とデジタルヘルス
本連載第111回で取り上げたように、米国の臨床現場における医療データ流通やAI利用を支えてきたデジタルヘルスは、第2次トランプ政権における公的医療保険改革ツールとして再起動した。(2025/6/13)
医療技術ニュース:
患者の投稿画像からアトピー性皮膚炎の重症度を解析するAIモデル
慶應義塾大学と帝京大学は、アトピー性皮膚炎患者向け投稿アプリを用いて、患者自身が撮影した皮疹画像から重症度をAIが自動で解析、評価するAIモデルを開発した。(2025/6/10)
医療技術ニュース:
手のひらサイズの血管チップでがん転移過程の一部を可視化
東京大学は、3次元の血管構造周囲にがん細胞集団を配置した3次元in vitroモデル「がん-微小血管チップ」を開発し、がん細胞が血管に浸潤しがん細胞の塊を形成するまでの一連のプロセスを可視化した。(2025/6/9)
医療技術ニュース:
VRで自分が飛べるという体験をすると高所恐怖が低減することが明らかに
情報通信研究機構は、VRで自分が飛べるという体験をすることで、高所恐怖反応が低減することを発見した。恐怖の低減度は、飛行体験によって「自分は飛行できるので落下しても危険ではない」と感じた程度と相関する。(2025/6/3)
医療技術ニュース:
デジタル技術とバイオ技術を融合した細胞遺伝子治療薬の研究開発技術を発表
日立製作所は、デジタル技術とバイオ技術を融合した「デザイン細胞開発プラットフォーム」技術を発表した。従来の研究開発手法では、細胞の設計や評価は年に数十種類程度だったが、10万種類程度まで可能になった。(2025/6/2)
医療技術ニュース:
遺伝性角化症の国際病名を、病因遺伝子を組み入れた新病名へと改訂
世界各国から集まった遺伝性角化症の専門家と患者会の代表で構成される、表皮分化疾患病名改訂イニシアティブは、遺伝的な表皮の分化障害による疾患の国際病名を包括的かつ抜本的に改訂した。(2025/5/27)
医療技術ニュース:
色の変化で力を可視化するウェアラブルセンサー
東京大学 生産技術研究所は、力の強さを色の変化で可視化するウェアラブルセンサーを開発した。力を加えると色が変わるメカノクロミックポリマーの構造をナノスケールで制御し、感度を最大14倍に高めた。(2025/5/26)
医療技術ニュース:
触覚情報と視覚情報が脳内で統合されるメカニズムを特定
情報通信研究機構は、手で物をつかんで硬さや柔らかさを感じとるといった能動的な触覚知覚において、「指を動かして感じる触覚情報」と「指の動きの視覚情報」が統合される脳内メカニズムをfMRI実験により特定した。(2025/5/20)
医療技術ニュース:
CT画像を比較し日本語の所見文を生成するAIを開発
名古屋大学と国立情報学研究所は、経過観察のために撮影された2つの3次元X線CT画像を解析し、自然な日本語所見を生成する生成AIを開発した。撮影日時の異なる2つの3次元X線CT画像から特徴を読み取り、その経時的変化を所見文として出力する。(2025/5/19)
海外医療技術トレンド(119):
EU未加盟のアイスランドとノルウェーがEUのR&Dプログラムに積極参画する理由
前回、北欧諸国の中でスウェーデンを取り上げたが、今回はEU未加盟のアイスランドやノルウェーが欧州全体のR&Dで果たしている役割について取り上げる。(2025/5/16)
医療技術ニュース:
香りの潜在的な好みに関する脳活動を発見
情報通信研究機構とライオンは、主観評価に表れない香りの潜在的な好みに関する脳活動を発見し、主観評価よりも高い精度で好みの香りを予測することに成功した。(2025/5/13)
医療技術ニュース:
閉経の早い女性は認知機能の低下が進む可能性がある
東北大学と東京都医学総合研究所は、閉経の年齢と認知機能との関連を調査し、40歳未満で閉経した女性は、50歳以上で閉経した女性と比べて、2年間で認知機能がより低下していることを明らかにした。(2025/5/12)
医療技術ニュース:
新型コロナウイルス感染症の経口治療薬シーズを開発
京都大学らは、新型コロナウイルスの宿主細胞内での子孫ウイルス粒子形成を阻害する新規化合物を発見し、動物実験でその治療効果を確認した。化合物の作用標的やメカニズムも解明している。(2025/4/24)
医療技術ニュース:
アルカリイオン水でお茶をいれると緑茶ポリフェノール量が増加
パナソニック くらしアプライアンス社は、アルカリイオン水で緑茶をいれると、緑茶に含まれるポリフェノールが天然飲用水の最大2.8倍に増加することを確認した。(2025/4/23)
医療技術ニュース:
携帯電話を活用したデジタル接触追跡技術を組み合わせ、アプリの実用性向上
北見工業大学と東京大学は、携帯電話を活用した2つのデジタル接触追跡技術を比較し、これらを感染状況に応じて使い分けることで、接触追跡の実用性を高める方策を発表した。(2025/4/17)
海外医療技術トレンド(118):
過疎地域の医療は持続可能? 北スウェーデンはモデルケースとなるか
本連載第100回で北欧諸国の医療SXにおけるイノベーションを取り上げたが、今回は特にスウェーデンに焦点を当てる。(2025/4/11)
医療技術ニュース:
ミカンの皮に含まれる成分で犬の認知症症状が改善
北里大学とエア・ウォーターは、ミカンの皮を用いた老犬の認知症症状改善に関する共同研究を実施した。ミカンの皮に含まれるフラボノイド成分を投与した老犬は、夜鳴きなど認知症症状が改善した。(2025/4/10)
医療技術ニュース:
同じ速さでも、手で感じる動きの速さが変わる触覚錯覚を発見
NTTは、皮膚に対して情報を広範囲かつ高密度に提示できる実験専用の触覚インタフェース活用し、手で感じる動きの速さが変わる錯覚を発見した。情報提示の空間間隔が大きいほど、物体の動きは遅く感じる。(2025/4/9)
医療技術ニュース:
幼児期に歯磨き習慣が少ないと機能性便秘になりやすい傾向を確認
東北大学は、子どもの健康と環境に関する全国調査のデータを利用した研究において、習慣的な歯磨き回数が少ないほど幼児期に機能性便秘になるリスクが高まることを確認した。(2025/4/3)
医療技術ニュース:
涙の通り道にある免疫組織がアレルギー悪化に関与していることを発見
慶應義塾大学は、涙の通り道に存在するM細胞が、アレルギー性結膜炎の悪化に関与することを発見した。M細胞の機能を調整することで、アレルギーの発症を抑制できる可能性が示された。(2025/3/27)
医療技術ニュース:
眼科専門医レベルの緑内障診断AIを開発
東北大学は、AIを活用して、眼科専門医の診断過程を模した高精度な緑内障スクリーニング(AI-GS)ネットワークを開発した。初期緑内障の検出性能に優れるほか、判定結果が数値で示されるため、読影医がAIの診断根拠を容易に理解できる。(2025/3/26)
医療技術ニュース:
脳への微弱な電気刺激が記憶力を活性化する
新潟医療福祉大学は、脳への微弱な電気刺激が記憶力の活性化に寄与する可能性があることを発見した。認知症リハビリテーションや治療法開発への応用が期待される。(2025/3/19)
医療技術ニュース:
胃カメラをしながら膵がんを早期発見できる診断法を開発
大阪大学らは、胃カメラの際に追加検査することで、早期膵がんを高精度に診断できることを発見した。十二指腸乳頭部を洗浄し、その回収液中のKRAS遺伝子変異を検出する。(2025/3/18)
海外医療技術トレンド(117):
シンガポールに学ぶクラウド型SaMD/Non-SaMDのセキュリティ
本連載第101回でシンガポールの医療/介護イノベーション動向を取り上げたが、新技術創出を支えるクラウド基盤のガバナンス向上施策も進んでいる。(2025/3/14)
医療技術ニュース:
長期肌実態調査を活用して「肌の曲がり角」が2回あることを発見
花王は、独自の長期肌実態調査を活用して5年間にわたる106人の肌変化を解析し、40歳前後と50代半ばの2回、肌状態が大きく変化する「肌の曲がり角」があることを発見した。(2025/3/12)
医療技術ニュース:
肝臓モデルの試供に向けた業務提携を締結
TOPPANホールディングスとフェニックスバイオは、業務提携契約を締結した。同提携により、3D細胞培養技術「invivoid」を用いて体外で作製した「人工3次元肝臓組織」を研究者に試供し、医薬品開発に貢献する。(2025/3/11)
医療技術ニュース:
霊長類の脳の状態を反映させた脳デジタルツインを開発
国立精神・神経医療研究センターは、霊長類の脳活動をリアルタイムでシミュレーションし、覚醒状態をモニタリングする「デジタルツイン脳シミュレーター」を開発したと発表した。(2025/3/5)
医療技術ニュース:
キネシン分子モーターKIF12が脂肪肝や肝硬変を抑制する仕組みを発見
東京大学は、ヒト家系と遺伝子操作マウスの解析により、脂肪肝や肝硬変を食い止める分子モーターを発見した。キネシン分子モーターのKIF12が脂肪合成酵素の分解を助け、肝細胞への脂肪滴蓄積を防ぐことが分かった。(2025/3/4)
医療技術ニュース:
小型犬における性格と遺伝子の関係の一端が明らかに
アニコム損害保険と京都大学は、トイプードルとミニチュアダックスフントの2品種において、高い遺伝率を持つ行動特性に関連する複数の遺伝子変異を明らかにした。(2025/2/26)
医療技術ニュース:
砂糖が誘発する肥満を抑制するバイオマーカーを発見
京都大学らは、ヒトの便検体を指標に、ヒト消化管常在細菌の一種であるStreptococcus salivariusが、スクロース誘発性肥満を抑制するバイオマーカーになることを発見した。(2025/2/25)
にわかに地球規模のトピックとなった新型コロナウイルス。健康被害も心配だが、全国規模での臨時休校、マスクやトイレットペーパーの品薄など市民の日常生活への影響も大きくなっている。これに対し企業からの支援策の発表も相次いでいるが、特に今回は子供向けのコンテンツの無料提供の動きが顕著なようだ。一方産業面では、観光や小売、飲食業等が特に大きな影響を受けている。通常の企業運営においても面会や通勤の場がリスク視され、サーモグラフィやWeb会議ツールの活用、テレワークの実現などテクノロジーによるリスク回避策への注目が高まっている。