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2019年までのストレージ市場を展望する(前編):福田昭のストレージ通信(14)(2/2 ページ)
米国のストレージ専門調査会社TRENDFOCUSは、2015年5月に東京で開催された「DiskCon Japan 2015」で、ストレージ市場の最新状況を解説するとともに、2019年までの市場動向を展望した。今回は、ハードディスク装置(HDD)の市場動向に関する講演内容を紹介する。
2015年第1四半期HDD出荷は1億2500万台
TRENDFOCUSは、直近の市場動向についても説明した。2015年第1四半期(1〜3月期)の世界全体のHDD総出荷台数は1億2498万台で、前四半期(2014年10〜12月期)に比べて少なからず落ち込んだとする。ノートPCの需要が軟化したことが大きな理由だという。
HDD市場は現在、3社のベンダーによる寡占状態にある。最大のシェアを握るのがWestern Digitalで、44%を占有する。続いてSeagate Technologyが40%のシェアを維持している。東芝のシェアは16%で、3社の中では最も小さい。
HDD市場は大きく、クライアント/コンシューマ向けとエンタープライズ向けに別れる。2015年第1四半期の内訳はクライアント/コンシューマ向けが1億633万台で大半を占めた。エンタープライズ向けは1865万台だった。
クライアント/コンシューマ向け市場でのベンダー別シェアはWestern Digitalが44%、Seagate Technologyが39%、東芝が17%である。エンタープライズ向け市場はSeagateが強く、49%とほぼ半分のシェアを占める。Western Digitalのシェアは40%、東芝のシェアは11%であまり高くない。
(後編に続く)
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