東芝、赤字転落の半導体事業は自主再建:64層3D NANDで売価下落に対抗へ(2/2 ページ)
東芝の電子デバイス部門の2015年度(2016年3月期)業績は、550億円の営業赤字を計上する見込みとなった。前年度に比べ2716億円減という大幅減益だ。NAND型フラッシュメモリ(NANDメモリ)事業を除き、ディスクリート、システムLSI、ストレージの3事業で赤字となり、事業構造の見直しを実施する。さらに2015年後半からの売価下落で利益幅が縮小しているNANDメモリも、高集積品の開発を急ぎ価格競争力を高めるなどし、電子デバイス事業として2016年度の黒字転換を目指す。
ディスクリート、システムLSIは「事業を継続していく」
赤字の続く、ディスクリート、システムLSI、ストレージの3事業については、不採算ビジネスからの撤退などを行って自主再建を図る。ディスクリート、システムLSIの2事業については、一部報道で“外部への売却”と報じられてきた。だが、東芝社長の室町正志氏は2016年2月4日の決算会見で「さまざまな方向で外部の協力を得ながら、事業の価値を高めていく方策を検討することも視野には入れているが、既に終息や撤退を決めている白色LED、CMOSセンサー以外の事業に関しては、売却したり、事業から撤退したりということは、現時点では考えていない」と一部報道を否定。「特にディスクリート半導体、車載/産業向けシステムLSIについては、事業を継続していく意向に変わりはない」と明言し、2015年10月に発表した半導体事業の構造改革策*)を実施して、2016年度中の黒字転換を目指す。
HDDはエンタープライズにシフト
HDD事業についても、市場が縮小しているPC向けHDDから、サーバ/ストレージ向けといったエンタープライズ向けHDDやSSDへ経営資源をシフトさせ、ディスクリート/システムLSI事業同様、2016年度中の黒字転換を図る構えだ。
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