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「SEMICON West 2016」開催、半導体ビジネスの変革を迫る福田昭のデバイス通信(78)(2/2 ページ)

半導体製造関連の北米最大の展示会「SEMICON West 2016」が現在、カリフォルニア州サンフランシスコで開催中だ。今回のテーマは「これまでのビジネスは忘れろ」。そこから見えてくるのは、半導体産業が明らかに転換期に入ったということだ。

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「これまでのビジネスは忘れろ」

 「SEMICON West 2016」のテーマは「Definitely Not Business as Usual(これまでのビジネスでは絶対に通用しない)」である。なかなか刺激的で面白い。日本の展示会では多分、出てきそうにないテーマだろう。

 説明会の資料で今回のテーマを説明するページには「Forget business as usual.(これまでのビジネスは忘れろ)」という一文がある。これまでのビジネススタイルは忘れ、新しいスタイルを探し、見つけなければならない。つまり、「『SEMICON West 2016』に参加することで、新しいビジネスのスタイルを発見しろ」と言っている。


「SEMICON West 2016」のテーマ「Definitely Not Business as Usual(これまでのビジネスでは絶対に通用しない)」を説明する資料(クリックで拡大) 出典:SEMI

 背景にあるのは、半導体産業が明らかに転換期に入ったということだ。転換期に入ったことを示す事実はいくつもある。半導体メーカーの企業買収や事業買収などが相次ぎ、業界は統合と再編成が進んでいる。ムーアの法則に沿った微細化(スケーリング)がペースダウンするとともに、ペースダウンを最小限にとどめようとする新デバイスや新プロセス、新材料などが登場した。

 微細化に伴う巨額の開発投資と設備投資は、1社単独での垂直統合モデルをほぼ完全に崩壊させた。垂直統合モデルを維持できているといえるのは、多分、Intel1社だけだろう。そのIntelもファウンドリービジネスに手を染めることで垂直統合モデルを壊しつつある。

 垂直統合モデルの崩壊は、水平分業モデルが半導体産業全体に普及したことを意味する。排他的なサプライチェーンは困難になり、相乗りや協業などによるサプライチェーンがごく普通になっている。一方で半導体製造に対する要求仕様は広範囲かつ多様になった。半導体メーカー1社、さらには装置メーカー1社で全ての要求に応えることは極めて難しい。

 「SEMICON West 2016」は、半導体産業に携わる人間全てに「頭の切り替え」を迫る。展示会や講演会などをのんびりと見て回ることは、もはや許されない。覚悟し、活目せよ。そして「何か」をつかむまで、会場を後にしてはならないのだ。

次回に続く

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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