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計測器、技術の要はハードからソフトにKeysight Technologiesプレジデント兼CEO Ron Nersesian氏(2/2 ページ)

キーサイト・テクノロジーは、プライベートセミナーおよび展示会「Keysight World 2016 東京」を2016年7月14〜15日に開催した。それに合わせて来日した、米国本社Keysight Technologies プレジデント兼CEOのRon Nersesian氏に、Keysightの戦略などを聞いた。

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成長率の高いモジュール式計測器

 ここ数年、横ばい状態が続いている計測器市場において、成長が見込まれているのがモジュール式計測器市場だ。Nersesian氏は、「当社は、2009年にモジュール式計測器の事業を開始した(当時はAgilent Technologies)。同事業は過去3年間、年平均成長率60%で成長し、2015年度の売上高は1億5000万米ドルを超えている」と、モジュール式計測器事業の順調な成長をアピールした。ただこの分野には、40年近くにわたりモジュール式計測器を提供してきた歴史を持つ、National Instruments(NI)という強敵が存在する。

 これについてNersesian氏は、「当社は常に世界最高水準のハードウェアを提供するよう努めている。ハードウェアだけでなく、ソフトウェア製品群を取りそろえていることも当社の特長だ。市場調査会社のFrost & Sullivanは2014年、Keysightは他の追随を許さないほどのソフトウェアのラインアップを有しているとの評価を発表した」と述べた。さらに同氏はKeysightの強みとして、「箱型、モジュール式、ハンドヘルド型のいずれの製品群も持っていて、顧客のニーズに最も合う形式の計測器を提供できること」を挙げている。

5G向け製品の要件は「新しいものではない」

 計測器業界にとって大きなトレンドの1つになっているのが5Gだ。Nersesian氏は、「5Gでは、ミリ波など高い周波数帯が必要になるとみられている。こうした高い周波数帯向けの計測器は、われわれが何年も前から投資しており、当社にとっては特別に新しいカテゴリーというわけではない。加えて、Aniteの買収によりプロトコルテスト用の製品群もそろった」と、5G開発向けに幅広い製品群を提供できることを強調する。

 Keysightの日本法人であるキーサイト・テクノロジーは2016年6月、5Gの最新技術動向や5G開発向けの計測器などを紹介する「Keysight 5G AKIBA Summit 2016*)」を開催した。同イベントでは、60GHz帯の電波の伝搬測定システムや、1GHzの帯域幅の信号を解析できるシグナルアナライザーなどが展示された。

*)関連記事:5G、土台があれば優れたサービスは生まれてくる

爆発的に増える測定データで、解析ソフトの重要性が増す


最大160Gサンプル/秒のサンプリングレートと、最大63GHzの帯域幅を持つオシロスコープ「Infiniium Z634A」(クリックで拡大)

 Nersesian氏は、ここ10年における計測器へのニーズの変化について、「以前は、ハードウェアの性能に対する要求が主だった。だが現在は、(計測器の高性能化が進んで)膨大なデータを収集できるようになったため、これらのデータをいかに解析できるか、というソフトウェアの性能に対する要求が目立つようになっている」と話す。「そのため、Keysightの製品開発の重点はハードウェアからソフトウェアに移りつつある。それは、Aniteの買収でも見て取れるだろう。当社のエンジニアも、半分以上がソフトウェアエンジニアだ」(同氏)

 「もちろん、優れたハードウェアが必要なことは言うまでもない」とNersesian氏は強調する。ハードウェアの高性能化のため、Keysightは計測器向けの部品を、部品メーカーから購入するのではなく、本社(米国カリフォルニア州サンタローザ)にある工場で製造する場合もある。とりわけ要になっているのが、GaAs(ガリウムヒ素)やInP(インジウムリン)といったIII-V族化合物半導体を用いた部品だ。数年前、KeysightはオシロスコープのA-Dコンバーターなど計測器のフロントエンド半導体部品として、InPプロセスをゼロベースから開発したという。「III-V族化合物半導体を利用した、高速で動作する半導体によって、競合他社では実現できないほど高速なオシロスコープなどを提供できる」(Nersesian氏)

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