再編が進む半導体業界、TEDが見据える2020年:半導体商社トップインタビュー 東京エレクトロンデバイス(3/3 ページ)
2016年になっても収まる気配がない、半導体業界に吹き荒れるM&Aの嵐。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。そこで、EE Times Japanでは、各半導体商社のトップに今後の戦略を問うインタビュー企画を進めている。今回は、東京エレクトロンデバイスで社長を務める徳重敦之氏に、同社が掲げる2020年までの中期経営計画について話を聞いた。
バイテックと合弁会社を設立
EETJ グローバルでみるとAvnet、Arrow、WPGなどの「メガディストリビューター」がM&Aを繰り返して、売り上げを拡大してきました。一方で、国内の半導体商社は数十社がひしめくような状態です。
徳重氏 M&Aは会社を成長させる戦略の基本であり、メガディストリビューターは大きな動きを見せてきた。国内においては、今までM&Aは基本ではなかった。半導体業界の再編に伴い、積極的ではなく、結果的に経営統合が進んでいくかもしれない。
EETJ 2016年7月には、同じ半導体商社のバイテックグローバルエレクトロニクス(VGEL)と、合弁会社を設立すると発表されました。NXP Semiconductors製品の販売を推進するとありましたが、あらためて、その意図について教えてください。
徳重氏 TEDとVGELは、共にNXPの国内販売代理店を務めている。当社は、NXPが2015年12月に経営統合したFreescale Semiconductor製品を主に扱う。一方のVGELは、Freescale経営統合前からNXP製品を扱ってきた。この2社は非常に組み合わせが良く、お互いに顧客が被らなかったのだ。そのため、両社の融合によるシナジーで、1社ではできなかった技術サポートを実現でき、顧客満足度の向上につなげられると考えている。
EETJ 今後、M&Aや経営統合をしていくことは考えられますか?
徳重氏 有効な手段と思っている。しかし、ただ売り上げの規模を増やすだけでは面白くない。両社のシナジーの先に、顧客の技術サポートがしっかりとできる、利益を生み出すことができると判断すれば、当然そういったことは考えられるだろう。
「これまでのTEDを超える」
EETJ 最後に今後の意気込みをお聞かせください。
徳重氏 当社のコーポレートメッセージには、若手が考えた「Connect Beyond」を掲げている。これは、ステークホルダーの皆さまとともに、新たな価値の創造に挑戦するという姿勢を表している。2020年までの売上計画は、相当上を目指した数値だ。しかし、社員全員が一丸となり、“これまでのTEDを超える”ことで実現したい。
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