完全デジタル型CDR、ノイズ耐性を約20倍向上:欧州の半導体国際学会で研究成果を発表
ザインエレクトロニクスは、ノイズ耐性をさらに向上させた高速起動完全デジタル型クロックデータリカバリー(CDR)技術を東京大学と共同開発した。
IoT/IoE、ADASなどセンサー応用市場を拡大
ザインエレクトロニクス(以下、ザイン)は2016年9月、ノイズ耐性をさらに向上させた高速起動完全デジタル型クロックデータリカバリー(CDR)技術を東京大学の浅田邦博教授らと共同開発した。研究成果は2016年9月12日からスイスで開催されたIEEE(米国電気電子学会)主催の国際学会「ESSCIRC(European Solid-State Circuits Conference)」で発表した。
ザインと東京大学は、これまでも完全デジタル型CDR技術の共同開発を行ってきた。この技術は、モバイル機器などで電池の長時間使用を可能にするためのバーストモード動作時などにおいて、待機時の低消費電力や復帰速度などで優れた特性を有する。
これまでの「待機時低消費電力」と「起動時高速性能」の特長に加えて今回は、起動後の位相同期回路(PLL)動作を工夫することで、起動後のノイズ耐性を向上させた。データ復調時の課題となっていたノイズの影響を解消できたことにより、定常時においてもさらなる安定動作を可能とした。
開発したCDR技術は、複合構成型デジタル可変遅延素子および位相検出/制御回路で構成する新たな周波数追従機能を搭載している。これにより、入力信号の立ち上がり情報の有無に対応したデジタル可変遅延素子の選択と遅延時間の動的制御を行う「フラクショナル位相選択方法」を実現。従来の完全デジタル型CDRに比べて、ノイズ耐性は約20倍上回るという。広範な周波数レンジや微細な周波数解像度も実現している。
ザインは新技術について、各種センサーネットワークの他、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)システム、自動運転/先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driving Assistant System)などの用途を想定している。
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