Note 7の発火問題、“対岸の火事”ではない:Weekly Top 10
EE Times Japanで2016年10月8〜14日に、多くのアクセスを集めた記事をランキング形式で紹介します。さまざまなトピックのニュース記事、解説記事が登場!!
「EE Times Japan Weekly Top10」バックナンバー
“対岸の火事”ではない、Note 7の発火問題
今回のランキングでは、Samsung Electronics(サムスン電子)の最新スマートフォン「Galaxy Note 7」の発火問題を取り上げた記事が1位を獲得しました。スマートフォンの出荷台数は世界トップ、そして、スマートフォンの性能や話題性においてApple「iPhone」と長年渡り合ってきたメーカーだけに、衝撃は大きなものでした。
発火を引き起こした原因は、まだ明らかではなく、Samsungの報告を待つしかありませんが、「それにしても一体なぜ……」という驚きを禁じ得ません。Samsungおよびそのサプライヤーにとっても大打撃となるであろうことは容易に想像がつきます。
そして今回の件は、スマートフォンを製造する全てのメーカーにとって“対岸の火事”ではありません。エレクトロニクス業界では以前から、開発期間の短縮や低コスト化に対する要求が極めてタイトになっています(その辺りの葛藤は、現在連載中の「“異端児エンジニア”が仕掛けた社内改革、執念の180日」で、とてもリアルに描かれています)。
製品の開発サイクルを短くして、どんどん新しいモデルを世の中に投入しなければならない――というビジネス的な側面もあると思います。一方で、ユーザー目線で見ると、本当にそれほどの短いサイクルが必要なのか、という疑問も出てきます。例えば、PCをシーズンごとに買い替える一般ユーザーは、まずいないでしょう。スマートフォンも1年ごとに買い替える(機種を変更する)、という人はそこまで多くはないと感じます(ちなみに私は「iPhone 5s」を使っています。友人は、きのう(10月16日)まで「iPhone 5」を使っていて、「iPhone 7」に変えたそうです)。むしろ「出るから買う」のであって、必要にかられて購入しているわけではないユーザーも多いのではないでしょうか。
スマートフォンの最新機種を毎年発売しなくてもいいのではないか、と思っているわけではないのです。ですが、今回のSamsungの問題を見ていると、「発売すること」に執着するあまり、「製品の安全性」ひいては「ユーザーの安全性」に対する注意力や優先度が落ちていたのでは……と思わざるを得ません。「開発コスト・期間」と「安全性」のバランスは常に危ういものなのかもしれないと、何度も流れるNote 7関連のニュースを聴きながら思ったのです。「中国スマホメーカー、模倣からの脱却」「スマホ失速は、Samsungに限ったことなのか」「Jeepのハッキング問題、ネットの脆弱性が深刻に」なども、ぜひご覧ください。
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