ヘルスケア/ウェルネス機器の開発期間を短縮:150米ドルで即時に動作検証
Maxim Integrated Productsは、ウェアラブルタイプのヘルスケア/ウェルネス機器の開発期間を大幅に短縮できる開発プラットフォーム「hSensor Platform」を発表した。
開発プラットフォーム「hSensor Platform」
Maxim Integrated Products(マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ)は2016年11月1日、ウェアラブルタイプのヘルスケア/ウェルネス機器などの開発期間を大幅に短縮できる開発プラットフォーム「hSensor Platform」を発表した。
hSensor Platformは、hSensorボード、ファームウェア、デバッガボード、バッテリーホルダー、USB-C及びMicro-USBケーブルなどが含まれている。hSensorボードは、外形寸法が25.4×30.5mmと小型である。この基板上には、医療グレードの温度センサー「MAX30205」が2個(表と裏に各1個)、1チャネル集積型生体電位(ECG)アナログフロントエンド(AFE)IC「MAX30003」、パルス酸素濃度計および心拍センサー「MAX30101」、ARM Cortex-M4Fコアを内蔵したウェアラブル用マイクロコントローラー「MAX32620」と、自己消費電流が小さいパワーマネジメントIC「MAX14720」などの自社製品が実装されている。
また、ヘルスケア/ウェルネス機器などの開発/評価に必要となる慣性センサーや気圧センサー、フラッシュメモリ、Bluetooth Low Energy無線モジュールなど他社製品も搭載されており、システムとしての動作確認も完了しているという。hSensor Platform購入後に、関連するアルゴリズムやファームウェアをウェブ上からダウンロードすれば、すぐにシステムの動作検証や機能評価を始めることができる。
hSensor Platformの価格は150米ドルで、同社のウェブサイトや販売代理店から購入することができる。ARM mbedハードウェア開発キット(HDK)にも登録済みで、さまざまな開発環境を活用することができる。
次のターゲットはウェアラブル分野
Maxim Integratedのバイスプレジデントで、マキシム・ジャパンの社長を務める滝口修氏は、「自動車、産業、差別化家電を戦略的フォーカス分野として、取り組みを強化している。差別化家電とは、消費者が高い価値を感じて購入してくれる商品である。電動自転車やハイファイオーディオなどがその例だ。その次のターゲットがウェアラブル分野である」と話す。オプティカルバイオセンサー市場でトップシェアを持つ同社が、hSensor Platformで新たな事業戦略を打ち出す。
ウェアラブル機器の市場性について、Maxim Integratedのインダストリアル&ヘルスケア製品事業部でエグゼクティブディレクターを務めるAndrew Baker氏は、「2016年は機器の出荷台数が1億台を突破する見通しだ。今後も5年間は2桁の成長を続け、2020年に出荷台数は2億台に達するだろう」と、市場調査の結果を紹介した。
こうした市場環境において同社は、より複雑化/高度化するウェアラブルタイプのヘルスケア/ウェルネス機器を効率よく開発できるプラットフォームを新たに提供する。「機器の設計は一段と複雑になる。hSensor Platformを利用すると、システム設計者は評価/検証用プロトタイプのハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアを開発する必要がない。開発期間として、最大6カ月の短縮が可能となる。ユーザーが開発したソフトウェアなどもプラットフォーム上に容易に実装できる。このため、システム設計者は設計コンセプトの実証などを早期に実行することが可能となり、製品の質的向上に注力できるようになる」(Baker氏)と述べた。
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