投資ファンドによるLattice買収に暗雲(前編):中国政府との関係が原因?(2/2 ページ)
2016年11月、米国に拠点を置く未公開株式投資ファンドCanyon Bridge Capital Partnersが、米国のFPGAメーカーLattice Semiconductor(ラティス・セミコンダクター)を13億米ドルで買収すると発表した。だがこれに、米国の規制当局が「待った」をかけている。
著名人が名を連ねるCanyon Bridge
CFIUSが、ロイターが報じたCanyon Bridgeと中国政府の関係を根拠に、Lattice Semiconductorとの取引を調査するかどうかは、現時点では不明だ。
いずれにせよ、Lattice Semiconductorの取引は、中国政府関連企業による米国半導体企業の買収では最大規模のものとなる。
この買収取引は、中国がこれまでに試みた米国の技術企業の買収と違う点がある。それは、Lattice Semiconductorを買収する企業が米国の企業買収ファンドとされていることだ。
Lattice SemiconductorはSECの提出書類の中で、Canyon Bridgeについて「最近設立された、米国を拠点とするプライベートエクイティ企業買収ファンドで、共同設立者には米国の半導体業界で有名な人物が名を連ねている」と説明している。Canyon Bridgeの共同設立者であるBen Chow氏とRay Bingham氏は、テクノロジーやプライベートエクイティ、M&A市場で(2人の経歴を合わせると50年超となる)豊富な経験を持つ。
Canyon BridgeのWebサイトによると、同社の共同設立者でマネージングゼネラルパートナーを務めるChow氏は、Applied MaterialsのグローバルプロダクトマネジャーやBoeing Phantom Worksのリサーチエンジニアを務めていた。Canyon Bridgeを設立する前には、Beijing Leading Capitalのパートナー企業であるChina Reform Fund ManagementやSIG Chinaでマネージングディレクターを務めたという。Warburg Pincus Asiaでは、北アジアの半導体投資を担当。TMT(Technology Media Telecom)分野をターゲットとする米国のベンチャーキャピタルファンドRustic Canyon Partnersの共同出資者でもある。
Canyon Bridgeの共同設立者でゼネラルパートナーを務めるRay Bingham氏は、シリコンバレーで広く知られる人物だ。同氏は現在、Cypress Semiconductorの取締役と、Flextronics Internationalのチェアマン、Trinetのチェアマン、Oracleの独立審査会のリードディレクターを兼務する。さらに、Cadence Design Systemsの取締役、プレジデント、CEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)として経営管理を指揮した経歴を持つ。
Canyon Bridgeはこの他、シニアアドバイザーとしてDavid Wang氏を迎えている。Wang氏は、同職に就任する前は、SMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)のプレジデント、CEO、取締役、中国Huahong GroupのCEO、Huahong NEC Electronicsのチェアマンを歴任している。
(後編に続く)
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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