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ルネサス製品が8割を占める半導体商社の勝算半導体商社トップインタビュー ルネサスイーストン(2/2 ページ)

2016年も収まらなかった半導体業界に吹き荒れるM&Aの嵐。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。そこでEE Times Japanは、半導体各社トップへのインタビュー企画を進めている。今回は、ルネサスイーストン社長の石井仁氏に聞いた。

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ワンストップソリューションの強化

EETJ IoT関連製品のビジネス拡大に向けた戦略を教えてください。

石井氏 ワンストップソリューションを強調したい。従来のように製品単体で売るのではなく、マイコンをコア技術として、センサーを含めたモジュール化まで担うなど、顧客のニーズに合わせたカスタマイズを行うことを進めている。

 ルネサスのマイコンをサポートするチームはもちろん、ソフトウェア専門のチーム、ASICなどの設計支援を行うチーム、センサーや無線通信をサポートするパートナーなど、ワンストップソリューションの提供に必要な組織が完成しつつある。

EETJ 従来のビジネスから大きな方針転換を進めているのですね。

石井氏 IoTの普及によって、老人ホームの見守りシステムのような従来と違う業界で新しい動きが出始めている。従来の顧客は、ハードウェア/ソフトウェアともに設計部門を抱えている場合が多い。しかし、新しい業界から参入する顧客は設計部門を持っておらず、部品単体でなくソリューションとしての提供を求めている場合が多い。その時に、当社に相談してもらえれば、さまざまな切り口でサポートが可能になる。


ワンストップソリューションの強化 (クリックで拡大) 出典:ルネサスイーストン

EETJ 各社がIoTに向けた取り組みを強化し、ソリューションとしての提供を掲げている気がします。その中で、どのように差別化を図っていきますか。

石井氏 つながる時代は、リアルタイム制御が鍵となる。リアルタイム制御にはハイエンドのマイコンが必須だ。ルネサスのマイコンが大きな差別化となると考えている。

EETJ ワンストップソリューションとして、ソフトウェア専門のチーム、ASICなどの設計支援を行うチームを挙げられました。具体的な規模感を教えてください。

石井氏 2015年10月に茨城デザインセンター(茨城県ひたちなか市)を設立し、50人程度の規模で自動車向けソフトウェア開発支援を行っている。当社全体のエンジニアは約130人、パートナーとの連携も進めている。2016年度第2四半期には組み込みセキュリティ分野を強化し、大日本印刷とSELTECHの2社とパートナーシップを結んだ。

 ASICの需要は低下している傾向にあるが、当社ではアナログ関連の設計支援に注力している。アナログのエンジニアは育てるのが難しく、他社も人材の確保に苦しんでいる。当社は約8人のアナログエンジニアがいるため、そこも差別化となるだろう。

シナジーがあればM&Aや協業を行う可能性も


画像はイメージです

EETJ 海外戦略についてはどのように考えていますか。

石井氏 海外拠点の売上高は、2015年度実績で181億円だ。自動車分野では海外の割合も大きくなり、今後も欧米の顧客を中心にビジネスを拡大していきたい。産業機器分野では、中国も外せない。当社としては国内、海外に関係なくシームレスに顧客のサポートをしていく。

EETJ 今後、M&Aや経営統合をしていくことは考えられますか?

石井氏 中長期的にはルネサスのマイコンを軸に、ワンストップソリューションの強化を進めていく。個人的には、単純に規模を追うのではなくシナジーが見込めるのであれば、その延長線上にM&Aや協業を行う可能性はあると考えている。

EETJ 最後に、今後の抱負について聞かせてください。

石井氏 つながる時代へと変化する中で、その変化に対応できなければ生き残るのは難しい。当社はモノづくりの要求が厳しく、技術の先端を進む自動車分野の顧客とお付き合いがあり、ソフトウェアの提供までサポートを行ってきた強みがある。今後もワンストップソリューションの強化を進めることで、IoT時代を勝ち残りたい。

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